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残った
「残った〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
残ったの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
蚊やりをたく土器《かわらけ》が、二つになってころがりながら、一面にあたりへ、燃え
残った青松葉を、灰といっしょにふりまいている。その灰を頭から浴びて、ちぢれ髪の、....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
っとこちらへ。」
お鈴は甲野よりも一足先に小走りに廊下を急いで行った。丁度雪の
残った棕櫚《しゅろ》の葉の上には鶺鴒《せきれい》が一羽尾を振っていた。しかし彼女....
「不思議な島」より 著者:芥川竜之介
でしょうか?」
「近海の島々へ売れるのです。が、勿論売れ残らずにはいません。売れ
残ったのはやむを得ず積み上げて置くのです。船の上から見えたでしょう、ざっと二万|....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ょう。御簾《みす》のひまから見える御池の水に、さわやかな星の光が落ちて、まだ散り
残った藤《ふじ》の※《におい》がかすかに漂って来るような夜でございましたが、その....
「影」より 著者:芥川竜之介
出て行ってしまった跡《あと》には、もう夾竹桃も見えなくなった、薄暗い空虚の客間が
残った。すると二人に忘れられた、あの小さな三毛猫は、急に何か見つけたように、一飛....
「水の三日」より 著者:芥川竜之介
こてある。あとで何膳ずつかに分ける段になると、その漆臭いにおいが、いつまでも手に
残ったので閉口した。ちょっと嗅《か》いでも胸が悪くなる。福引の景品に、能代塗の箸....
「桃太郎」より 著者:芥川竜之介
噛《か》み殺した上、たちまち鬼が島へ逐電《ちくでん》した。のみならず鬼が島に生き
残った鬼は時々海を渡って来ては、桃太郎の屋形《やかた》へ火をつけたり、桃太郎の寝....
「葬儀記」より 著者:芥川竜之介
らず恐縮する。
涙のかわいたのちには、なんだか張合《はりあい》ない疲労ばかりが
残った。会葬者の名刺を束にする。弔電や宿所書きを一つにする。それから、葬儀式場の....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
いる見物仲間へ嫌《いや》でも加わらずにはいられなかった。その代りまた後《あと》に
残った二人は、本来さほど敵意のある間柄でもなかったが、騎虎《きこ》の勢いで已《や....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
はじ》を見せるのは、死ぬよりもつらいと云うのです。いや、その内どちらにしろ、生き
残った男につれ添いたい、――そうも喘《あえ》ぎ喘ぎ云うのです。わたしはその時猛然....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
敏の手へ、麦藁帽子を残したなり、昂然と次の間へ通りました。が、可哀そうなのは後に
残ったお敏で、これは境の襖の襖側にぴったりと身を寄せたまま、夏外套や麦藁帽子の始....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
案した「金毘羅利生記」を愛していた。「金毘羅利生記」の主人公はあるいは僕の記憶に
残った第一の作中人物かもしれない。それは岩裂の神という、兜巾鈴懸けを装った、目な....
「豊島与志雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
の珠」と云う小品が出た時だろう。それがどう云う訳か、僕の記憶には「登志雄」として
残った。その登志雄が与志雄と校正されたのは、豊島に会ってからの事だったと思う。 ....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
想像されるあらゆる苦痛より遥かに苦しい気がした。 最後に私の手には一通の手紙が
残った。それは私の書いたもので、私が五十年前に習字の先生の言葉を書き取ったものだ....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
胡桃の林から聞えてくるし、鶉の笛を吹くようなさびしい声もときおり近くの麦の刈株の
残った畑から聞えてきた。 小鳥たちは別れの宴をはっていた。饗宴もたけなわと見え....