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残らず
「残らず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
残らずの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
はいった所が、計《はか》らず甚内にめぐり合った事、なおまた父と甚内との密談も一つ
残らず聞いた事、――そんな事を手短《てみじか》に話しました。が、甚内は不相変《あ....
「文放古」より 著者:芥川竜之介
》に禁酒|演説《えんぜつ》なんぞをやっているんですって。
「もっとも候補者は一人
残らず低能児《ていのうじ》ばかりって訣《わけ》でもないのよ。両親の一番気に入って....
「不思議な島」より 著者:芥川竜之介
「そんなに需要があるものでしょうか?」
「近海の島々へ売れるのです。が、勿論売れ
残らずにはいません。売れ残ったのはやむを得ず積み上げて置くのです。船の上から見え....
「魔術」より 著者:芥川竜之介
自由に飛び廻って、一々行儀よくテエブルの上へピラミッド形に積み上りました。しかも
残らずこちらへ移ってしまったと思うと、すぐに最初来たのから動き出して、もとの書棚....
「桃太郎」より 著者:芥川竜之介
ざおう》に逃げ惑《まど》った。
「進め! 進め! 鬼という鬼は見つけ次第、一匹も
残らず殺してしまえ!」
桃太郎は桃の旗《はた》を片手に、日の丸の扇を打ち振り打....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
てい》彼等の忍び難い、寛大に過ぎた処置であった。彼等はまず彼の鬚《ひげ》を、一本
残らずむしり取った。それから彼の手足の爪を、まるで貝でも剥《は》がすように、未練....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ない。のみならずその游泳者は悉《ことごと》く水を飲んでおり、その又ランナアは一人
残らず競技場の土にまみれている。見給え、世界の名選手さへ大抵は得意の微笑のかげに....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
。必ず新橋から京橋までの間に、左側に三個所、右側に一個所あって、しかもそれが一つ
残らず、四つ辻に近い所ですから、これもあるいは気流の関係だとでも、申して申せない....
「或る女」より 著者:有島武郎
、何がなしの興奮にじっとしてはいられないような顔つきをして、乗客は一人《ひとり》
残らず甲板に集まって、今まで自分たちがそば近く見ていた桟橋のほうに目を向けていた....
「或る女」より 著者:有島武郎
呼び出されたんだった。船の中での事をそれとなく聞きただそうとしおったから、おれは
残らずいってのけたよ。新聞におれたちの事が出た時でもが、あわてるがものはないと思....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
た光の迷子のように、ちかちかとささやかに音を立てるばかりで、他のすべてのやつらは
残らず唖だ。快活らしい白い唖の群れの舞踏――それは見る人を涙ぐませる。 私はさ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
前は私から遠ざかって、お前のいうことなり、思うことなり、実行することなりが、一つ
残らず外部の力によって支配されるようになる。お前には及びもつかぬ理想が出来、良心....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
こう云う僕を救うものは唯眠りのあるだけだった。しかし催眠剤はいつの間にか一包みも
残らずになくなっていた。僕は到底眠らずに苦しみつづけるのに堪えなかった。が、絶望....
「母を尋ねて三千里」より 著者:アミーチスエドモンド・デ
お百姓もおどろいてマルコのそばへかけて来ました。マルコは自分の今までの有様を
残らず話しました。 お百姓は大変可愛そうに思って、何かしきりに考えていましたが....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
。二人はそう思うと心もとない気がした。 広場という広場、往来という往来は、一つ
残らず歩いてみた。人だかりのしているところへ来ると、彼等はきまって足をとめた。神....