残り少な[語句情報] » 残り少な

「残り少な〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

残り少なの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
蘭学事始」より 著者:菊池寛
た。一年余を過ぎた頃には、訳語の数も増え、章句の脈も明らかに、書中の轡十文字は、残り少なくかき消されていた。 先駆者としての苦闘は、やがて先駆者のみが知る欣び....
出世」より 著者:菊池寛
の顔が見えないな」と、軽く訝しげに思うにとどまるだろう。先の短い年でありながら、残り少ない月日を、一日一日ああした土の牢で暮さねばならぬ彼らに、譲吉は心から同情....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
心を刺戟することに対しては情熱的に興味をもっていた。ところが、その自尊心も彼には残り少なかった。そんな風に嫉妬に苦しみながらも多鶴子を愛している以上、自尊心には....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
ぽど秀子にお詫びを申したらしい。 其のうちに客も一人二人と次第に退き去り、全く残り少なと為って愈々会も終りになった、秀子は曲を終って降りて来たが、第一に余の傍....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
たので、二人が力のない足を引き摺って再び水道橋を渡る頃には、又蔵の提灯の蝋はもう残り少なくなっていた。狐の声は鴉の声に変っていた。 杉野の屋敷でもこの不思議な....
単独行」より 著者:加藤文太郎
眠るのでした。けれどその予想は毎朝、哀れにもくつがえされるのでした。やがて休暇も残り少なくなった三日目頃からAには会社のことが気にかかりだしました。その晩、Aは....
賤ヶ岳合戦」より 著者:菊池寛
大夫に一千騎を添えて、敵の背後の方へ向わせた。瀬兵衛の兵も、盛政の新手の勢の為に残り少なくなって居る処に、退き口である麓の小屋小屋に火の手が挙った。今は是までと....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
と山崎は訊ねるようにつゞけた。誰れも疑わしげに同意しなかった。 煙草はだん/\残り少なくなって来た。何気なげに、笑ったり喋ったりする一方、彼の耳は、しょっちゅ....
獄中記」より 著者:大杉栄
一カ年の刑期のものはとうに出た。一カ年半のものも出た。二カ年の堺と山川ももう残り少なくなった。そこへ突然検事が来て、今お前等の仲間の間にある大事件が起ってい....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
てくれました。――が、何を申しましても女の細腕、力と頼む一|族郎党の数もよくよく残り少なになって了ったのを見ましては、再挙の計劃の到底無益であることが次第次第に....
幾度目かの最期」より 著者:久坂葉子
腕がだるくなっちまったの。今日は、朝のうち、随分ピアノ練習したし、それに、煙草が残り少ないの、今晩中に書きあげることは、出来かねるので、――煙草なければ駄目なの....
窃む女」より 著者:黒島伝治
意もしなければならない。 自分の常着も一枚、お里は、ひそかにそう思っていたが、残り少ない金を見てがっかりした。清吉は、失望している妻が可愛そうになった。 「そ....
剣侠」より 著者:国枝史郎
(どうともして早くあいつの居場所を、探り知って討ち取りたいものだ) (旅用の金も残り少なになった) このことも随分辛いのであった。 胸は苦しく頭痛さえして来....
沼畔小話集」より 著者:犬田卯
久しぶりで彼は酔っぱらってさえいた。 彼の前半生は――といってももはや後半生も残り少なになっているのであるが――かかることの絶えざる繰りかえしであった。彼は高....
暗黒星」より 著者:黒岩涙香
はただ恐ろしい、いわば猛獣の眼の輝く色なんだ。 三十九 七日―六日―五日―日数が残り少なくなるに連れ、空に輝く眼の光が益々|凄くなって来る。復讐に渇している怪物....