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残り少ない
「残り少ない〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
残り少ないの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「出世」より 著者:菊池寛
の顔が見えないな」と、軽く訝しげに思うにとどまるだろう。先の短い年でありながら、
残り少ない月日を、一日一日ああした土の牢で暮さねばならぬ彼らに、譲吉は心から同情....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
通りだから彼の白痴は猶更耐え難いだろうと思い、再び煖炉を焚き附けて次の室へ行き、
残り少ない燐燧を奢って見廻すと白痴は居ぬ、扨は何所か出て行く所があるだろうかと二....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
じた年長者が、それとなくあたえる注意であった。
「人夫どもに聞けば、用意の糧食も
残り少ないとか」
「それというのも、貴様がよい加減なことを申し、安うけあいをした....
「備忘録」より 著者:寺田寅彦
つの新しき朝を体験し、ヌク飯のヌクミとその香を実感する。そして著者とともに貴重な
残り少ない生の一日一日を迎えるのである。牛乳一合がココア入りであるか紅茶入りであ....
「幾度目かの最期」より 著者:久坂葉子
腕がだるくなっちまったの。今日は、朝のうち、随分ピアノ練習したし、それに、煙草が
残り少ないの、今晩中に書きあげることは、出来かねるので、――煙草なければ駄目なの....
「特殊部落の犯罪」より 著者:豊島与志雄
を一度に二切れかじりながら、火の方へよろめき寄った。木の切株の腰掛へ臀を落付けて
残り少ない火で股火をしてると涙がぼろぼろ流れた。 二 つるは何だか落....
「窃む女」より 著者:黒島伝治
意もしなければならない。 自分の常着も一枚、お里は、ひそかにそう思っていたが、
残り少ない金を見てがっかりした。清吉は、失望している妻が可愛そうになった。 「そ....
「変る」より 著者:豊島与志雄
のを、大五郎はかすかに感じながら、また誇りともしていた。眼には穏かな光があった。
残り少ない銚子の酒を、小さな盃で一杯ぐっと飲んで、隣席の男の横顔をじっと眺めた。....
「再び山へ」より 著者:松濤明
間もなく軍隊に入る。戦争に行く、そして山とは永久にお別れになる――。こうした
残り少ない山生活が、なおどれだけの情熱に値するか? 大東亜戦争の始まる頃から、....
「地上」より 著者:島田清次郎
えないことは分りきったことのように考えられた。しかし、現在のままで生活することは
残り少ない貯金を更に短い間に消費してしまうことでしかなかった。彼女は仕方がないと....
「三国志」より 著者:吉川英治
が明けてから、山間の岩陰から出てきたほどである。 幸いに、陳宮に出会ったので、
残り少ない味方をあつめ、 「ともかく、この上は、徐州へ帰って、一思案し直そう」と....
「三国志」より 著者:吉川英治
残らず焼死してしまった。 この一戦は、終始張飛の圧倒的な優勢裡にすすめられて、
残り少ない敗残の手兵をあつめ、張※は、命からがら瓦口関にのがれ、よじ登って、あた....
「三国志」より 著者:吉川英治
た。ところが、夜が明けてみると、兵の大半はいつの間にか逃げ落ちてしまい、いよいよ
残り少ない軍力となってしまった。 「ああしまった。こんなことになるなら、荊州の民....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
それも、 「是か、非か」 と考えられる。 城の守兵は、すでに千を欠いていた。
残り少ない兵をさらに一兵でも失うのは良策でない。また堰工事をするとみれば、敵とて....
「黒田如水」より 著者:吉川英治
り小銃を乱射して、妨害を試みていたが、その矢玉も、城外の野戦でつかい尽し、すでに
残り少ないことが織田軍にも見抜かれていた。しかし織田軍の作戦は、極力、味方を損じ....