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「残り火〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

残り火の前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
家霊」より 著者:岡本かの子
物の匂いと煙草の煙りとが濛々《もうもう》としている。小女と出前持の男は、鍋火鉢の残り火を石の炉《ろ》に集めて、焙《あた》っている。くめ子は何となく心に浸み込むも....
単独行」より 著者:加藤文太郎
なくともあのときの僕の不注意と親しみの少ない行動とを思い出すと、その貧しい記憶の残り火を過去の灰の中からかき立ててここに記すことは、僕としての義務であり、またそ....
斜陽」より 著者:太宰治
んなさい」 と言う事が出来た。 思うと、その日あたりが、私たちの幸福の最後の残り火の光が輝いた頃で、それから、直治が南方から帰って来て、私たちの本当の地獄が....
南国太平記」より 著者:直木三十五
、俯向いたままであった。お由羅も、黙っていた。 炉の中の火は、すっかり消えて、残り火が、ほのかに明るいだけであった。部屋の中の、薄い煙は、戸惑いしたように、天....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
榾をつかんで、膝がしらでポキポキ折り、 「女房、酒はねえか、酒でも出せ」 炉の残り火を掻き立てて、自暴に薪を投げこんだ。 この夜半の騒々しさに、乳呑児も眼を....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
すが、もしこの廂のお近くで、さっきのように火でもお焚きになる場合は、どうぞ、後の残り火だけはご注意くださいますように」 「わかりました」 「では御免を」 僧は....
私本太平記」より 著者:吉川英治
った。 その中からは密書が出てきた。帝は読むとすぐ細かに裂いて、 「金若、竈に残り火があるか」 「ございます」 「これを燃やしてしまえ」 「はい」 「そして、....