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「残り香〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

残り香の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ところが気にくっちまったとでもいうんですかい?」 「でも、ぶよんとはしているが、残り香が深そうで、なかなか美形だぜ」 「へへい、おどろいちゃったな。そ、そりゃ、....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
しませぬ」 「よしッ。では、この紙入れもそなたに返してつかわすによって、しっかり残り香なと抱き締めて、もうやすめ」 いちばんの懸念だった自殺のおそれがないと見....
政治と作家の現実」より 著者:宮本百合子
間を可能にした。同時にまた、文化の面では、アンナ・アフマートヴァのフランス香水の残り香のする老いた桃色と紫色との詩にちょっと魅せられるような気分をも伴った。ソヴ....
或る日の対話」より 著者:豊島与志雄
、旧きものの喪が忍びこんでくる。今迄の大気や大地や食物や衣服や酒や煙草の、最後の残り香は、まだ身辺に立ち迷っているのである。それは第一義的なものではなく、思想や....
復讐」より 著者:豊島与志雄
で、そして恐ろしかった。危い。情死……ばかな。私は彼女の胸に顔を押しあて、化粧の残り香をかぎ、肌の温みを呼吸した。それでも、なにか空しい。 「ねえ、僕の眼を見る....
紫大納言」より 著者:坂口安吾
色好みには衰えもなく、夜毎におちこちの女に通った。白々明けの戻り道に、きぬぎぬの残り香をなつかしんでいるのであろうか、ねもやらず、縁にたたずみ、朝景色に見惚れて....
夜の構図」より 著者:織田作之助
そして、伊都子の匂い……というよりもむしろ、人間の浅ましい交渉の匂いのかすかな残り香を嗅いでいると、女のあわれさが、はや信吉を憂愁の感覚でとらえてしまった。 ....
我が円朝研究」より 著者:正岡容
。ただおもう、私は、この厄払いじみた台詞こそ、じつに書き下ろし当時芝居噺の当時の残り香なのではなかろうか、と。なるほど、芝居噺のことにしたら多少伴蔵の性格を犠牲....
五重塔」より 著者:幸田露伴
耳たしかに聞いて朝も平日よりははよう起き、含嗽手水に見ぬ夢を洗って熱茶一杯に酒の残り香を払う折しも、むくむくと起き上ったる清吉|寝惚眼をこすりこすり怪訝顔してま....
私本太平記」より 著者:吉川英治
見ていた。 後醍醐は、まのわるさを、おおいきれなかった。去ったばかりな小宰相の残り香が、その涙のシミが、まだ、ご自身の袖や膝に乾いていない。 「よう脱けて来ら....