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残光
「残光〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
残光の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「八十八夜」より 著者:太宰治
さんは、瞳をかがやかしてそれを見上げる。やはり、よい山である。もはや日没ちかく、
残光を浴びて山の峯々が幽《かす》かに明るく、線の起伏も、こだわらずゆったり流れて....
「赤外線男」より 著者:海野十三
外線テレヴィジョンに映るものは、殆んど白昼と変らない明るさであった。それは太陽の
残光が多量の赤外線を含んで、運動場を照しているせいに違いなかった。勿論画面の調子....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
れる。暗く濁って、塔櫓に押し冠さるほど低く垂れ下った空は、その裾に、わずか蝋色の
残光を漂わせるのみで、籬の上方にはすでに闇が迫っていた。そして、時々合間を隔てて....
「走れメロス」より 著者:太宰治
らぬ大きな力にひきずられて走った。陽は、ゆらゆら地平線に没し、まさに最後の一片の
残光も、消えようとした時、メロスは疾風の如く刑場に突入した。間に合った。 「待て....
「安重根」より 著者:谷譲次
し声をよそに、机上に頬仗をついてパイプをふかしながら、凝然と考えこんでいる。窓の
残光徐々に薄らいで、この時は室内に半暗が漂っている。 柳麗玉 (書き物を続けなが....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
る。 (ここまでくれば、もう大丈夫だ) と、三人が三人とも、そう思った。入日の
残光が急にうすれて、夕闇が煙色のつばさをひろげて、あたりの山々を包んでいった。と....
「爆薬の花籠」より 著者:海野十三
さる大波のうねりを、ぼんやりと、ながめていた。 波の背に、さっきまでは、入日の
残光がきらきらとうつくしくかがやいていたが、今はもう空も雲も海も、鼠色の一色にぬ....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
はときどき立ちどまって、水と燃料の薪を積みこみ、そうして思い出したようにまた遠い
残光をさして揺ぎ出すのだ。ある朝「バイカル!」の声にあわてて窓かけを排すると、浪....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
原の小松林も、段々に砕ける浪の線も、もう完全に過去へ歿した。ただ、しらじらとして
残光を海ぜんたいに反映する空の下を、コング・ホウコン号の吐く煙りがながく揺曳して....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
ぜられる。その夕がたの日のほのかな光に鶯が鳴いている、というので、日の入った後の
残光と、春野に「おぼほし」というほどにかかっている靄とに観入して、「うら悲し」と....
「一週一夜物語」より 著者:小栗虫太郎
、同時だった。しかしジェソップ氏は、からだをかがめ顔を地にすれすれにして、とおく
残光が、黄麻畑の果にただようあたりに透した。 間もなく彼は、手の泥を払いながら....
「地上」より 著者:島田清次郎
お光は見送ったのである。 蒸し暑い風の淀んだ次の日の夜であった。地平にひろごる
残光は暗い空と黒藍の海に吸われて、闇が平野一面に這い拡がっていた。曇った鈍い空に....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
じた。 「一、二、三、ハハハハ」 「ハハハハ」 春の日は西にうすずいて、最後の
残光を林に投げ、ふたりのほがらかな笑い顔に送った。 「やあやあここでしたか」 ....
「キド効果」より 著者:海野十三
灯が点かない……」 別の声が呻吟いた。 矢のように走り去る光線だった。僅かに
残光が窓枠の四角な形を切り出していたが、それも吸い取紙で吸い取られるように薄れて....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
く地平線下に沈みかかり、三十分に至りて全くその形を没す。ときに一天片雲なく、没後
残光をとどめ、夜半なお余明あり。その光景、筆端のよく模写するところにあらず。太陽....