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「残喘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

残喘の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
っていた鼻は、ほとんど嘘のように萎縮して、今は僅《わずか》に上唇の上で意気地なく残喘《ざんぜん》を保っている。所々まだらに赤くなっているのは、恐らく踏まれた時の....
毛利先生」より 著者:芥川竜之介
後頭部のあたりに、種々《しょうしょう》たる胡麻塩《ごましお》の髪の毛が、わずかに残喘《ざんぜん》を保っていたが、大部分は博物《はくぶつ》の教科書に画が出ている駝....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
に取り残されたかと思う人の、疎《まば》らな髯《ひげ》を風塵《ふうじん》に託して、残喘《ざんせん》に一昔と二昔を、互違《たがいちがい》に呼吸する口から聞いたのは、....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
明しておいたが、いくら丈夫でもこう焼かれたり煮られたりしてはたまらん。多病にして残喘《ざんぜん》を保《たも》つ方がよほど結構だ。こう考えて膳の傍《そば》に坐って....
平凡」より 著者:二葉亭四迷
と、古手の思想が凝固《こりかた》まって、其人の吾は之に圧倒せられ、纔《わずか》に残喘《ざんぜん》を保っているようなのが幾らもある。斯ういう人が、現実に触れると、....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
って、暗黒な地平に近づきつつあった。呼吸は間歇的《かんけつてき》になり、わずかな残喘《ざんぜん》にも途切らされた。もはや前腕の位置を変えるのも容易でなくなり、両....
死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
の死はごく平易なものになっていると。 では、この六週間の苦悶とこの一日じゅうの残喘《ざんぜん》とは、いったい何なのか。こんなに徐々にまたこんなに早くたってゆく....
瘠我慢の説」より 著者:木村芥舟
を慰めたりや。要するに、予の半生将死の気力を蘇し、やや快くその光陰を送り、今なお残喘を延べ得たるは、真に先生の賜というべし。 以上|記するところは、皆予が一身....
俳人蕪村」より 著者:正岡子規
歿せしなり。俳句は享保に至りて芭蕉門の英俊多くは死し、支考、乙由《おつゆう》らが残喘《ざんぜん》を保ちてますます俗に堕《お》つるあるのみ。明和以後|枯楊※《こよ....
日本橋附近」より 著者:田山花袋
来ては、あたりの店の外観をかえショウウインドーの飾りつけをかえ、そこらにわずかに残喘を保つようにして巴渦を巻いている昔の街のさまをかえた。しかも過渡期は依然とし....