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「残滓〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

残滓の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
して戯作者の厳《おごそ》かな魂が理解されよう。ここにこそ「人生」は、あらゆるその残滓《ざんし》を洗って、まるで新しい鉱石のように、美しく作者の前に、輝いているで....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
かし、子が父を乗せた刑車を引いて絞首台に赴くこの光景は、もしこのとき滝人に憐情の残滓《かす》が少しでもあれば、父と子が声なく呼び合わしている、痛ましい狂喚を聴い....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
求を充足しているか。 智的生活の出発点は経験である。経験とは要するに私の生活の残滓である。それは反省――意識のふりかえり――によってのみ認識せられる。一つの事....
思想と風俗」より 著者:戸坂潤
は、実は、家から気まぐれになげ出され、家庭内労働から迷い出た処の、日本家庭主義の残滓の象徴である。之は社会的公服を欠いた日陰者のものだ。他方洋服の方は勤労社会か....
連句雑俎」より 著者:寺田寅彦
ったものには痕跡《こんせき》を現わさないはずであるが、それでも時には見のがされた残滓《ざんし》らしいものが古人の連句にもしばしば見いだされる。たとえば前掲の「ふ....
イデオロギー概論」より 著者:戸坂潤
のが多い(例えばドイツの新しい大学やわが国の帝国大学の如き)。だが今日では封建的残滓は資本主義の敵ではなくて却って末期的資本主義の最後の武器となる。それは懐古的....
日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
それにもっと完全なことには、この人間の学の方はハイデッガーの人間学から、現象学的残滓をすっかりとりのけて、その解釈学(=文献学)を純化したものなのである。――つ....
現代哲学講話」より 著者:戸坂潤
をここに至らしめた何よりもの原因は、彼等が伝統的に「常識」として持っている封建的残滓なのであって、夫がファシズムのテーゼで重大な役割を占める処の国家とか国民とか....
世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
制の下には起き得ない現象ではあるが、併し資本主義の開花に際してどのような封建的な残滓があろうとも、世論というものは成立するのだ。民衆というものが自主的な政治勢力....
社会時評」より 著者:戸坂潤
教育界にだけ残っている。それが教育事業なのだ。で小原氏は今、身を以てかかる中間的残滓の清算に当ろうと決心しているわけになるのである。 (一九三三・八) 倫理....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
が切れてからというものは……それからというもの……私は破壊され荒され尽して、ただ残滓と涙ばっかりになった空虚な身体を、いま何処で過ごしているとお思いになりまして....
純粋経済学要論」より 著者:手塚寿郎
が残っている。けれども、これは、いずれの先駆者にも除き尽すことの出来ない古い物の残滓である。 この残滓はパレートによって除き去られて、ワルラスの一般均衡理論は....
東京文壇に与う」より 著者:織田作之助
見される。東京にあるものは、根柢の浅い外来の文化と、たかだか三百年来の江戸趣味の残滓に過ぎない。(中略)大体われ/\の文学が軽佻で薄っぺらなのは一に東京を中心と....
日本歴史の研究に於ける科学的態度」より 著者:津田左右吉
をもっていて研究者みずからにおいてもその思想を幾らか曇らせていた固陋な考えかたの残滓がなおどこかにこびりついているために、それにわずらわされもしようし、あるいは....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
る奉公の実を挙ぐるため武道教練に精進すべきは当然であり、国防国家の今日、旧時代の残滓とも見るべきかくの如き特権は速やかに撤廃すべきである。中等学校以上に入らざる....