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残酷
「残酷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
残酷の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
づよく、丹塗《にぬ》りの柱の向こうに、じっと自分の息をうかがっているのを感じた。
残酷に、しかもまた落ち着いて、自分の苦痛をながめているのを感じた。そうして、それ....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
女はその時にはまっ先に海へ飛びこんでいた。信輔は未《いま》だにありありと口もとに
残酷な微笑を浮べた彼の友だちを覚えている。彼の友だちは人並み以上に語学の才能を具....
「第四の夫から」より 著者:芥川竜之介
彼は直ちに二人の鼻を削《そ》ぎ落してしまえと主張し出した。温厚なる君はこの言葉の
残酷《ざんこく》を咎《とが》めるのに違いない。が、鼻を削《そ》ぎ落すのはチベット....
「春」より 著者:芥川竜之介
出した。電車の中の人々の目は云い合せたように篤介へ向った。彼女は彼女自身の上にも
残酷《ざんこく》にその目の注《そそ》がれるのを感じた。しかし彼は目《ま》じろぎも....
「河童」より 著者:芥川竜之介
ばか》な、嫉妬《しっと》深い、猥褻《わいせつ》な、ずうずうしい、うぬぼれきった、
残酷な、虫のいい動物なんだろう。出ていけ! この悪党めが!」
一
三年|前....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
しかしお蓮の頭の中には、始終男の事があった。それは恋しいと云うよりも、もっと
残酷《ざんこく》な感情だった。何故《なぜ》男が彼女の所へ、突然足踏みもしなくなっ....
「女」より 著者:芥川竜之介
花粉にまみれながら、蕊《しべ》の下にひそんでいる蜜へ嘴《くちばし》を落していた。
残酷な沈黙の数秒が過ぎた。
紅い庚申薔薇《こうしんばら》の花びらは、やがて蜜に....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
く盲目的に彼を崇拝した。さらにまた他の一団は彼の野性と御目出度《おめでた》さとに
残酷な嘲笑《ちょうしょう》を浴せかけた。最後に数人の若者たちは心から彼に信服した....
「捨児」より 著者:芥川竜之介
にはいられなかった。
「いえ、それは話しません。私の方から云い出すのは、余り母に
残酷《ざんこく》ですから。母も死ぬまでその事は一言《いちごん》も私に話しませんで....
「少年」より 著者:芥川竜之介
る。彼はこの代赭色の海に予期を裏切られた寂しさを感じた。しかしまた同時に勇敢にも
残酷《ざんこく》な現実を承認した。海を青いと考えるのは沖だけ見た大人《おとな》の....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
《わけ》ではない。我我は時には怯懦《きょうだ》の為に、時には又美的要求の為にこの
残酷な慰安の相手に一人の女人を使い兼ねぬのである。
結婚
結婚は性慾....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
いいつ》の活路でございます。どうか私の申上げた事を御《お》信じ下さい。そうして、
残酷な世間の迫害に苦しんでいる、私たち夫妻に御同情下さい。私の同僚の一人は故《こ....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
た僕自身の姿を思い出したりした。のみならずファッショの刑罰もあるいは存外当人には
残酷ではないかと考えたりした。 三〇 大水 僕は大水にもたびたび出合....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
軍勢の戦いを始めるのを眺めたほど神経的疲労に陥っていた。僕はこう云う彼等の不幸に
残酷な悪意に充ち満ちた歓びを感じずにはいられなかった。 或東かぜの強い夜、(そ....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
屋に戻った。小鳥を握る手に少し力を入れてみた。心臓の皷動は前より早くなった。少々
残酷だとは思ったが、気持が好かった。私はもう一息で小鳥の息の根を止めるところだっ....