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残雪
「残雪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
残雪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「追憶」より 著者:芥川竜之介
いる。しかしその宿は清潔でもあり、食事も玉子焼などを添えてあった。 たぶんまだ
残雪の深い赤城山へ登った時であろう。西川はこごみかげんに歩きながら、急に僕にこん....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
庫御嶽―乗鞍―焼登山記 四月二十九日、午前五時十分|智頭行の汽車は鳥取を離れて
残雪に蔽われた立山と扇ノ山を左に見て、南へ走って行きます。立山が隠れて氷ノ山が、....
「火星兵団」より 著者:海野十三
ここまで来れば、大丈夫だぞ」
先生は、やきつくようにかわいたのどを、手にふれる
残雪をぶっかいて、口の中に入れ、元気を取りもどした。こうして、地獄沢を後に、掛矢....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
んとし、或は半ば削げ、或は倒れかかりて、人の愛護の手に遠ざかれるものの、自然の風
残雪虐に堪えかねたる哀しき姿を現わしたる其の端に、昔は立派でも有ったろうが、今は....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
も尽きてしまった。危機のおびやかしが寒気とともに痩身に迫ってくる。 庭の面には
残雪が、日中というのに解けもせずにすさまじく光っているのがながめられる。 鶴見....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
とは好みませんでした。それで妹にもたのんで別府の町から一里はなれた、鶴見山という
残雪を頂いた山のふところにある観海寺温泉に行くことに決めました。霙の降るある朝私....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
富士が高く現われている。北には地蔵薬師等の山々が、重なり合うて、前岳の大崩れは、
残雪のように白く輝く、やや西へ寄って白河内の山が鮮かに姿を出している。ここで昼食....
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
「信濃、又四郎谷、嘉門次」、やや下方に、ざあ、ざっと水の流るる音、これから上は、
残雪の他、水を得られないとて水筒に充し、一直線にこの急坂を登る。 一岩を踏むと....
「一ノ倉沢正面の登攀」より 著者:小川登喜男
はかつて成瀬岩雄氏から聞いてはいたが、高々六、七百メートルのこの辺にこのような大
残雪を見出した事は意外であったし、また嬉しくもあった。 雪渓の下端は洞窟のよう....
「北穂天狗の思い出」より 著者:上村松園
ても、別にあせる模様もなくどこまでものんびりである。ここかしこの山間渓間にはまだ
残雪が深く、おくれ咲きの山桜や山吹とともに何ともいわれぬ残春の景趣を横溢させてい....
「西航日録」より 著者:井上円了
けてロッキー山嶺にかかる。すなわち一律を賦す。 洛山深処暁冥冥、雲影侵窓夢忽醒、
残雪懸天半空白、老杉繞水一渓青、絶無人跡渾蕭颯、唯有風光自秀霊、今夕不知何処宿、....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
おのおの異様の地勢を有す。その高さ海抜一千尺ないし二千尺くらいに過ぎざるも、峰頂
残雪の点在するを認む。山麓に細草を見るも、樹木に乏し。海岸は湾曲すこぶる多く、ほ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ほの暗い、藍鼠の背皮、その背皮は懸崖だ。 赤い、豆の太陽の南、影になった懸崖の
残雪、 と観たが、違った。 生きている、生きている。 動いている、動いてい....
「釜沢行」より 著者:木暮理太郎
候。甲武信の信州側は小舎まで全く雪に封じられ、戦場ヶ原の一時間行程の処まで所々に
残雪有之候。東沢は釜沢の途中まで新緑滴るが如く、石楠、つつじ、日蔭つゝじなど美し....
「秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
駒ヶ岳が全容を露し、平ヶ岳の上には中ノ岳の円錐頂が認められた。いつも三日月形の大
残雪が残る平ヶ岳の東南面には、夥しく白いものが見える。表面から反射する光の工合は....