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「殺気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

殺気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
これでは、息がつまって、口がきけぬわ。」 太郎は、それを耳にもかけないように、殺気立った声で、いらだたしく繰り返した。 「言うか、言わぬか。」 「言う。」と、....
路上」より 著者:芥川竜之介
らさ。だからどうすれば好いんだと僕も云っていたんだ。」 大井はこう云いながら、殺気立った眉をひそめて、七八杯目のウイスキイをまずそうにぐいと飲み干した。 ....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
はぼんやり佇《たたず》んで居た。また実際それよりほかに、何の分別もつかないほど、殺気立った彼の心の中《うち》には、気も狂いそうな混乱が、益々烈しくなって居たので....
忠義」より 著者:芥川竜之介
ふだん黄いろく肉の落ちた顔が、どこと云う事なく痙攣《けいれん》して眼の色まで妙に殺気立って来る。そうして、発作《ほっさ》が甚しくなると、必ず左右の鬢《びん》の毛....
或る女」より 著者:有島武郎
》け渡った。 「叔父さんにも申し上げておきます」 と沈黙を破った葉子の声が妙に殺気を帯びて響いた。 「これまで何かとお世話様になってありがとうこざいましたけれ....
或る女」より 著者:有島武郎
と思っているのか……見ているがいい。葉子はいらだちきって毒蛇《どくじゃ》のような殺気だった心になった。そして静かに岡のほうを顧みた。 何か遠いほうの物でも見つ....
星座」より 著者:有島武郎
と》げてしまった。今度はあなた方の仕事をする番が来た」と言いながら、悪魔のように殺気立った群衆に取り囲まれて保安裁判所に引かれていく…… 仏国革命に現われでる....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
戟の石突をつかないばかり、洋服を着た、毘沙門天、増長天という形で、五体を緊めて、殺気を含んで、呼吸を詰めて、待構えているんでがしてな。 お嬢さんの方は、名を縫....
南地心中」より 著者:泉鏡花
顛童子という、三分刈りの頭で、頬骨の張った、目のぎょろりとした、なぜか額の暗い、殺気立った男が、詰襟の紺の洋服で、靴足袋を長く露した服筒を膝頭にたくし上げた、と....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
のそのそと這いありく。 歌俳諧や絵につかう花野茅原とは品変って、自から野武士の殺気が籠るのであるから、蝶々も近づかない。赤蜻蛉もツイとそれて、尾花の上から視め....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
犬山道節 火遁の術は奇にして蹤尋ね※まんとす 寒光地に迸つて刀花乱る殺気人を吹いて血雨|淋たり 予譲衣を撃つ本意に非ず 伍員墓を発く豈初心ならん 品....
三枚続」より 著者:泉鏡花
目をしながら、胸に波を打たせて肩で呼吸だ、歯を喰緊めて口が利けず。 かかる処へ殺気を籠めて、どかどかと寄せて来た、お夏と蔵人とを中に、婆の右左へかけて取巻いた....
式部小路」より 著者:泉鏡花
あれ、お囲いなどとは、推参な! 井戸端の悪口|穴埋にして、湯屋の雑言焼消そう、と殺気を帯びて来たのであるから、愛吉はこれは、と思った。 ト同時に、この内証話か....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
な風呂敷を、開く、と見れば――一|挺の拳銃。 晃然と霜柱のごとく光って、銃には殺気紫に、莟める青い竜胆の装を凝らした。筆者は、これを記すのに張合がない。なぜと....
活人形」より 著者:泉鏡花
っちへ来な。好い者を見せてやる。立て、ええ立たないか。「あれ。と下枝は引立られ、殺気満ちたる得三の面色、こは殺さるるに極ったりと、屠所の羊のとぼとぼと、廊下伝い....