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「母体〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

母体の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
富士」より 著者:岡本かの子
で、広い野に突禿《とつとく》として擡《もた》げ出された独立の山塊にしか見えない。母体の山脈は、あとに退き、うすれ日に透け、またはむれ雲の間から薔薇色に山襞《やま....
千年後の世界」より 著者:海野十三
しくないのはもっともだ。 「じゃ、失礼ながら、今のあなたの身体というものは、昔、母体から生れて大きくなったあなたの本当の身体とは、大部分違った別物なのですね」 ....
恐しき通夜」より 著者:海野十三
るには、医学的に相当の理由が無くては、開業医といえどもウッカリ手を下せないのだ。母体が肺結核とか慢性腎臓炎であるとかで、胎児の成長や分娩やが、母体の生命を脅すよ....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
筋書が、あの五芒星呪文の本体なんだよ。リュッツェンの役では、軽騎兵ブラーエとその母体である暗殺者の魔法錬金士オッチリーユとの関係だったものが、この事件に来ると、....
恋愛曲線」より 著者:小酒井不木
意志をもって動いて居るかのように思われる。ある時はその心臓に小さな目鼻が出来て、母体から切り離されたことを恨んで居るかのように見え、ある時は又浮世の空気に触れた....
たずねびと」より 著者:太宰治
だけた胸に抱き込まれている二歳の男の子は、ひいひい泣き通しでした。この下の子は、母体の栄養不良のために生れた時から弱く小さく、また母乳不足のためにその後の発育も....
めでたき風景」より 著者:小出楢重
む方はいいとして、生み出された因果の種自身にとっては大した迷惑である。 大体、母体の中へ初めて現れてみた時、誰一人として悦んでくれたものがなかったということは....
油絵新技法」より 著者:小出楢重
る。印象派などは極端に太陽光線ばかりを描いたようだが、ともかく影とひなたは油絵の母体であり相貌といっていい。だから日本画の技術のみを習得した画家には絶対に油絵は....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
なければならないのは、実は私があなたの頸のうしろに手を当てて、あなたの催眠状態の母体になっていた時、わたしは私自身の眼にもあの鏡の中に女の顔を見て、はっとしまし....
鬱屈禍」より 著者:太宰治
てみるのだが、考えてみると、すべてそれは、芸術を生み、成長させ、昇華させる有難い母体であった。やり切れない話である。なんの不平も言えなくなった。私は貧しい悪作家....
前妻の怪異」より 著者:田中貢太郎
のうちに妻が妊娠して、翌年になって男の子を分娩したが、ひどい難産のうえに産褥熱で母体が危険になった。青年は幾晩も眠らないで、愛妻を看護する傍、嬰児のために乳貰い....
美の日本的源泉」より 著者:高村光太郎
アリヤン民族の美の大系譜である。今日の欧米諸民族の美の源泉は悉く此の二系統にその母体を持つ。欧洲に於ける如何に飛び離れた新らしい美も此の二系統の外に出る事は出来....
全体主義」より 著者:国枝史郎
等は国民である。国民は国家の一節であり一細胞である。 国家という全体が――即ち母体が、衰滅に帰したならば、その細胞であり一節である国民が衰滅することは必然であ....
印象」より 著者:小酒井不木
ればならぬ時です。例えば結核患者が妊娠した場合、その婦人に分娩させるということは母体にとって甚だ危険でありますから、私たちは、通常妊娠の人工的中絶即ち人工流産を....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
めたあの凄まじい岩峰の登りに懸ったのだ。断崖の絶端から右の谷間を覗いては見るが、母体を離れた岩屑の薄気味悪い音を霧の底に聞くのみで、眼に映るものは一様に灰白の色....