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母指
「母指〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
母指の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
群を離れてつと進んだ。とたんに水藻の花が揺れた。と、その蔭から顔を覗かせたのは、
母指ほどの山椒魚であった。 清らかな空気には花の香が、咽せ返るほどに籠っていた....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
から、さア訳を聞かして下さい、次第によれば其の儘には捨置かれん」 とぷつりッと
母指で備前盛景の鯉口を切って馬足を詰めました。山三郎は驚く気色もなく、 山「山三....
「甲州鎮撫隊」より 著者:国枝史郎
し、しばらくは顔を上げなかった。部屋の中は静かで、何時の間に舞込んで来たものか、
母指ほどの蛾が行燈の周囲を飛巡り、時々紙へあたる音が、音といえば音であった。総司....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
、どうぞご自由に。」と切口上だった。 新子が出て行くと、夫人は左右の手の中指と
母指とを、タッキタッキと交互に鳴らしながら、姿見の前へ歩いて行って、自分の姿や顔....
「銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
年増唇から真っ白い歯を見せた。 「さあお通り。……後からだろうね?」 ヒョイと
母指を出して見せた。 「私今日は嬉しいのよ」お色はトンと店へ上がった。 「そうだ....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
かるにお前の掌を見るに、そんなものの気振りもない。これ疑いの第一だ。それに反して
母指の内側、人差し指の内側へかけて、一面にタコが出来ている。これ竹刀を永く使い、....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
いを洩らしたものの、夫人の悄れた様子を見るとすぐその笑いを引っ込ませた。 彼は
母指の爪を噛み――彼の一つの癖である――天井の方へ眼をやりながら、かなり長い間考....
「おせん」より 著者:邦枝完二
艶はあるめえからの」 三日月なりに切ってある、目にいれたいくらいの小さな爪を、
母指と中指の先で摘んだまま、ほのかな月光に透した春重の面には、得意の色が明々浮ん....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
じっと黙ってそれを聞いていると、いい香りの風が私の顔をさすって行くのよ。……私は
母指を口の中に入れて、それをチュウチュウと吸いながら、眼を細めて呆然としていたの....
「越中劍岳先登記」より 著者:柴崎芳太郎
雪道を約五時間も費やしました、その雪を通過すると劍山の支脈で黒部川の方向に走れる
母指との間のような処に出ました、もっともこの積雪の上を徒渉するのにどうしても滑り....
「深川の唄」より 著者:永井荷風
っている。指環《ゆびわ》の輝くやさしい白い手の隣りには馬蹄《ひづめ》のように厚い
母指《おやゆび》の爪が聳《そび》えている。垢《あか》だらけの綿《めん》ネルシャツ....
「野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
ンピンといっている。実の形が三味線の撥に似ているので、小児はこれを採って左の手の
母指の爪に当てて、三味線を弾くといって戯れ遊んだ。山口県の厚狭郡では「猫の三味線....