母胎[語句情報] »
母胎
「母胎〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
母胎の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
、この島山は、潮の海から蜻蛉型に島山の肩を出すことが出来たのであった。重ね重ねの
母胎の苦労である。その上、重く堅い巌《いわお》を火の力により劈《つんざ》き、山形....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
持った言葉だ。 「だれも気もつかず注意も払わない地球のすみっこで、尊い一つの魂が
母胎を破り出ようとして苦しんでいる」 私はそう思ったのだ。そう思うとこの地球と....
「地球盗難」より 著者:海野十三
という。それは一見偶然の出来ごとのようであるが、実はそうでなくて、そのような馬が
母胎の中に発生するとき極めて特殊な生理的条件が存在したのである。これについては後....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
想像したくなるものだ。ところが、この場合はすこぶる表象的な意味があって、それが、
母胎内における双生児の形を指しているのだったよ。ところが熊城君、だいたい双生児と....
「第四次元の男」より 著者:海野十三
たくしの父母は未詳である。つまり、拾われた子であることがわかった。だから、人間の
母胎から生れてきたかどうか、その辺のことはすこぶる疑わしいこととなった。だが誰で....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
宿って、人間として生れるということは絶対にないと言ってよい……。が、一人の幼児が
母胎に宿った時に、同一系統の竜神がその幼児の守護霊又は司配霊として働くことは決し....
「続堕落論」より 著者:坂口安吾
う。そのカラクリをつくり、そのカラクリをくずし、そして人間はすすむ。堕落は制度の
母胎であり、そのせつない人間の実相を我々は先ず最もきびしく見つめることが必要なだけだ。....
「堕落論」より 著者:坂口安吾
見された壮観な人間図であり、日本は負け、そして武士道は亡びたが、堕落という真実の
母胎によって始めて人間が誕生したのだ。生きよ堕ちよ、その正当な手順の外に、真に人....
「現代の詐術」より 著者:坂口安吾
マーケット座の親分が一千万円献金して公認候補になったという。そういう事柄がサギの
母胎ではないか。サギの性格を助成するものが政治の在り方ではないか。 パンパンや....
「新人へ」より 著者:坂口安吾
の自覚、そして孤独の発見は文学のふるさとだけれども、それは又、人間全体の生き方の
母胎でもあって、およそ、文学固有の生き方、態度、思想、そういう特別なものは有り得....
「あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
かも知れないが、新鮮な機運を、君は見逃してはなりません。 はっきり言えば、その
母胎の一つ二つが、既に、君の身近かにあるではないか。しかも、注意すべきことは、そ....
「茶番に寄せて」より 著者:坂口安吾
そのうち、思いきった戯作を書いて、読者に見参するつもりである。 笑いは不合理を
母胎にする。笑いの豪華さも、その不合理とか無意味のうちにあるのであろう。ところが....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
ひろい天地に生かすことになりそうだね。時に例外はあるだろうが、とにかく宝塚という
母胎は、たいがいの生徒さんの芸よりもユニックですよ。そして、伝説的に人々に考えら....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
はのぞめない。これを統一する最短距離は、そのいずれの系統の氏族に対しても文化的に
母胎をなす最大強国の大文化にたよるにまさるものはない。太子の系統はコマの滅亡と共....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
の新傾向が、実は御子左一家の恣ままな思いつきでなく、当時の隠者層を生み出してくる
母胎となった、中堅貴紳層の一般的な生活や精神やの中から、根をはやして萌え出たもの....