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「毒悪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

毒悪の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
行人」より 著者:夏目漱石
れるだろうか。もし彼らの待遇が、あの女の病気と共にだんだん軽薄に変って行くなら、毒悪《どくあく》な病と苦戦するあの女の心はどのくらい心細いだろう。どうせ芸妓屋《....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
たのはやはり東風君である。「根が俳句趣味からくるのだから、あまり長たらしくって、毒悪なのはよくないと思って一幕物にしておいた」「なるほど」「まず道具立てから話す....
骨董」より 著者:幸田露伴
からん、模本贋物を御渡しになるとは、と真正面からこちらの理屈の木刀を揮って先方の毒悪の真剣と切結ぶような不利なことをする者ではなかった。何でもない顔をして模本の....
あめんちあ」より 著者:富ノ沢麟太郎
を揶揄《やゆ》しているのではないかと疑った。そうして彼には自分の考えと感情とが、毒悪と憎怨とに制限されているのではないかと、呪《のろ》わしく思われないこともなか....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
ぞいうものが、足元にも寄り付けないくらい神秘的な、尖端的な、グロテスクな、怪奇、毒悪を極めた……ナニ、まだ見た事がないから見せてくれ。お易い御用だ。タッタ今お眼....
暗黒公使」より 著者:夢野久作
ある、あらゆる不道徳、不自然、不人情、反法律、反逆、破壊、放縦、堕落、淫虐の強烈毒悪なる混合酒に酔わされて、数千年来自然に親しみつつ養い来った日本民族の純情を失....
探偵小説の正体」より 著者:夢野久作
のものが生む、悽愴たる罪悪感……残忍な勝利感や、骨に喰い入る劣敗感なぞ……そんな毒悪な昂奮に鬱血硬化させられ続けている吾々の精神の循環系統の或る一個所を、探偵小....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
窓に稲妻がさす。胸がとどろく。 たちまち、この時、鬼頭巾に武悪の面して、極めて毒悪にして、邪相なる大茸が、傘を半開きに翳し、みしと面をかくして顕われた。しばら....
幻覚記」より 著者:豊島与志雄
る。四里ほどはなれた或る町に、肺病に特効の秘薬があって、その薬をのめば、体内の病毒悪血を忽ちに排出してしまうのだ。然し父は、その薬の服用を承諾しない。母と私とは....
日記」より 著者:宮本百合子
に私は失望して仕舞うであろう。 三月七日(火曜) 欠 春が如何に私にとって毒悪いものであるかと云う事を感じ始めた。 私の精神は或る圧迫に堪えられない様に....