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毒液
「毒液〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
毒液の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「わが町」より 著者:織田作之助
仕事はらくではなかった。 朝八時にいったん商会へ顔を出して、その日の訪問表と消
毒液をうけとる。 それから電話機の掃除に廻るのだが、集金のほかに、電話のありそ....
「球根」より 著者:寺田寅彦
って、二人で顔を見合わせて意味ありげに笑った。そのような事でさえ彼の血管へ一滴の
毒液を注射するくらいな効果があった。二人が帰って後にぼんやり机の前にすわったきり....
「簔虫と蜘蛛」より 著者:寺田寅彦
そこに鋭い毒牙を働かせ始める。壁がやがて破れたと思うと、もう簔虫のわき腹に一滴の
毒液が注射されるのであろう。 人間ならば来年の夏の青葉の夢でも見ながら、安楽な....
「ウィリアム・ウィルスン」より 著者:佐々木直次郎
いうほどではなくともごくありふれた名とを、嫌っていた。その言葉を聞くと耳のなかへ
毒液を注ぎこまれるようだった。そして、私がこの学校へ着いた日に、もう一人のウィリ....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
曰く、この呪もて自ら護る者は、毒蛇に傷殺されずと。味毒無味毒とは、蛇の牙から出る
毒液に、味あると味なきとあるを、古くインド人が試み知ったと見ゆ。 一九〇六年版....
「ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
であろう、非凡の才あるものが凡人を駆使するのは、非凡の科学者が電気や磁気や害虫や
毒液を駆使すると同じである。露国はソビエト政府を建てたがかれらを指揮するものはレ....
「さまよえるユダヤ人の手記より」より 著者:寺田寅彦
上のアルコールの減じて行く速度がそういう感じを起させたのである。幾ミリグラムかの
毒液を飲み終ると、もう石のように動かなくなってしまった。 そこへ若いF君がやっ....
「狼疾記」より 著者:中島敦
は明らかに、幼い心に恐怖を与えようとする嗜虐症《しぎゃくしょう》的な目的で、その
毒液を、その後に何らの抵抗素も緩和剤をも補給することなしに、注射したものであった....
「死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
に監獄というものはけがらわしいものであることか。そこにはあらゆるものを汚す一つの
毒液がある。すべてが、十五歳の娘の唄でさえも、そこでは色あせてしまう。そこで小鳥....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
り取って、徐ろにそれを苦悩の杯に滴らしめる。おれは早晩その杯を傾けねばならない。
毒液と知りつつそれを飲み乾さねばならない。」 鶴見は目をつぶってじっとしている....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
矢を抜き取って仔細にそれを調べて見た。土人の使う弓矢である。鏃の先には飴色をした
毒液がたっぷり塗りつけてある。記念のためにその弓の矢を私は大事に手に持って先へ的....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
ろう? 弓だよ、矢だよ、石器だよ。壺で何かを煮ているではないか! 矢に塗りつける
毒液だよ。……遠くで狼が吠えている。近くで栗鼠がはねている。月が雲を割って現われ....
「変な恋」より 著者:小酒井不木
った。 グレージーが盃を取りに行くと、その間に彼女は手早く毒薬の瓶から盃の中へ
毒液を滴らした。そうして、グレージーが戻ったとき、彼女はその盃へ黄色の葡萄酒をな....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
かかわらず、何カ月も良人に会うことを許されなかった。いまや、軽蔑と恐怖と憎悪との
毒液は滴り落ち、月日の長びくに従って憎いという思いは凝り、エリザベスは怒りを育て....
「わが町」より 著者:織田作之助
仕事は楽ではなかった。 朝八時にいったん事務所へ顔を出して、その日の訪問表と消
毒液をうけとる。それから電話機の掃除に廻るのだが、集金のほかに、電話のありそうな....