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「毒茸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

毒茸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ろまん灯籠」より 著者:太宰治
混乱に逢着したようでございます。ラプンツェルは魔の森に生れ、蛙《かえる》の焼串や毒茸《どくきのこ》などを食べて成長し、老婆の盲目的な愛撫の中でわがまま一ぱいに育....
ある遊郭での出来事」より 著者:若杉鳥子
体である事は、人として異りないものを。 湿地の棒杭の腐れから生える、あの淡紅い毒茸のような生存から、何時の日彼女等は救われるだろう――。 豊饒な土壌に根を下....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
きの菌が出た、あれが開いたらばさぞ夥多しい事であろう。」 山伏の言につれ、件の毒茸が、二の松を押す時である。 幕の裙から、ひょろりと出たものがある。切禿で、....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
》、老茸《おいたけ》、鼠茸《ねずみたけ》というようなものに限ったもので、そこから毒茸が出て、人を殺したという例《ためし》はまだ無い。 しかし、茸の生える所がこ....
南島譚」より 著者:中島敦
を裏切った不信な夫は奸悪な海蛇だ。海鼠《なまこ》の腹から生れた怪物だ。腐木に湧く毒茸。正覚坊の排泄物。黴《かび》の中で一番下劣な奴。下痢をした猿。羽の抜けた禿翡....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
ら、喜兵衛も非常に安堵していた。と、去年の秋の季節に、大事な二人の孫がまちがえて毒茸を食し、一夜にそろって死んでしまった。 豪放な喜兵衛旦那もさすがに一時は寝....
鱗粉」より 著者:蘭郁二郎
世界に来たような、多彩な幕が切って落されるのだ。 紺碧の海に対し、渚にはまるで毒茸の園生のように、強烈な色彩をもったシーショアパラソル、そして、テントが処せま....
山の秋」より 著者:高村光太郎
タケ、アンズタケ、その他食用になるのがいろいろ出るが、ナメコはこの山には出ない。毒茸も多い。まっかなベニタケ、星のついたテングタケは恐ろしい毒物だし、夜になると....
たどんの与太さん」より 著者:竹久夢二
さり生えていました。――綺麗だなあ。グレコが言いました。――いけませんよ、それは毒茸ですから。マリヤが言いました。――だって綺麗だから好いよ。――いくら綺麗でも....
きのこ会議」より 著者:夢野久作
ます。見るとそれは蠅取り茸、紅茸、草鞋茸、馬糞茸、狐の火ともし、狐の茶袋なぞいう毒茸の連中でした。 その大勢の毒茸の中でも一番大きい蠅取り茸は大勢の真中に立ち....
茸狩り」より 著者:和辻哲郎
見える。子供心にもこういうふうな感じの区別が実際あったのである。特にこれらの茸と毒茸との区別は顕著に感ぜられた。赤茸のような鮮やかな赤色でもかつて美しさを印象し....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
実は、武蔵の籠へ手を入れて、 「だめ! だめ! これは紅茸、これは天狗茸、これも毒茸」 ぽんぽん選り捨ててしまって、 「私の方が、こんなに多い」 と、誇った....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
と、ひとりの捕手がどなった。 うつむき加減に、杖をついた道者笠は、月に咲いた毒茸のごとく、ジイと根を生やしたまま、退こうともせず、驚いた様子も見せない。 ....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
る。 で、私は好晴の日を見ては屡々山岳の茸を訪問する。敢て訪問するというのは、毒茸が多くて食すべき大獲物に接し得ないことと、前述の意味に出発点を置くところから....
大岡越前」より 著者:吉川英治
亀だの、阿能十だの、三平だの、お島だのという誇悪と社会反逆を快とする不良の徒も、毒茸のように、生え揃って来たものだった。 そういう世代が作った危険な社会地盤の....