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毒針
「毒針〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
毒針の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
る途中で、町方らしい者に追われて危く逃《の》がれたなどという噂を聴くたびに、彼も
毒針で胸を刺されるように感じた。 町方に追われて以来、気の弱い幸之助は自分の屋....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
も打ち込み切っているのだ。雪之丞の、一言一句が、まるで、甘い、しかし鋭い、蜜蜂の
毒針のようなものとなって、心臓の、奥深いあたりをまで、突き貫かずには置かぬ。
「....
「伸子」より 著者:宮本百合子
或は娘に対して母ばかりが心得ている本能で、いつもこういう風にうまく、伸子の急処に
毒針を突き立てた。そして、対手を猛々しくする。しかし、その日は、伸子もやっと自分....
「我に叛く」より 著者:宮本百合子
悪くなるのを感じた。 「用がなけりゃあ話もされなくてはおしまいね!」 彼女は、
毒針と知りつつそれを虫に刺し込むような残酷さでちらりと良人の方を見た。 「……ど....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
する。敵と見ると、ほかの者を犠牲にしても自分だけ助かろうとする。いよいよとなると
毒針を振廻す。墨汁を吹く。小便を放射し、悪臭を放散する。又はそこいらの地物や、自....
「超人鬚野博士」より 著者:夢野久作
ったんだろう」 「親方の頭のテッペンから血がニジンでいるぞ」 「あしこから小さな
毒針を舌の先で刺しやがったんだろう。最前|殴り倒おされた怨みに……」 「ソ……そ....
「夢鬼」より 著者:蘭郁二郎
身を捧げて恋いしたった夢にも忘れ得ぬ葉子に、無残にも愛想づかされた激しい言葉は、
毒針のように、脳天から突き通ったのだ。 「葉ちゃん、そんな……」 追かけるよう....
「簔虫と蜘蛛」より 著者:寺田寅彦
ない。「昆虫の生活」という書物を読んだ時に、地蜂のあるものが蜘蛛を攻撃して、その
毒針を正確に蜘蛛の胸の一局部に刺し通してこれを麻痺させるという記事があった。麻痺....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
なかった。不覚のいたりだ。もっとも、そんなことをすれば、首領は一撃のもとに自分を
毒針でさし殺したかもしれない。これだけのことを考えるのに、永くかかったわけではな....
「反動ジャーナリズムのチェーン・ストア」より 著者:宮本百合子
へ」は、ブルジュア・ジャーナリズムのやりかた、大衆の社会主義社会建設への欲望への
毒針を、小さいながら形式において備えている。だから、これは一寸面白いというわけで....
「無人島に生きる十六人」より 著者:須川邦彦
種類で、ときどきは、長さ二メートル、太さ人間の足ほどもある海蛇や、尾のなかほどに
毒針のある、アカエイも、つり針にかかった。ふかもたくさんいたが、ふかはつらなかっ....
「J・D・カーの密室犯罪の研究」より 著者:井上良夫
分銅で頭蓋を割られたりなど。 ――寝台が体温で温たまるにつれ毒ガスを発生したり、
毒針が突出して来たりなど。 (四)、実際は殺人事件ではなく、自殺であるのを、他殺....
「魔性の女」より 著者:大倉燁子
かする。君と一緒にいると僕は頭が変になって、どうかなっちゃいそうな気がする。君の
毒針で刺すような凝視にはもう堪えられない。僕は君から完全に解放されて、自由の天地....