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比ぶ
「比ぶ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
比ぶの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
九郎の掘り穿った洞窟は、もはや五丈の深さに達していた。が、その三町を超ゆる絶壁に
比ぶれば、そこになお、亡羊《ぼうよう》の嘆があった。里人は市九郎の熱心に驚いたも....
「仇討三態」より 著者:菊池寛
なんといううつけ者じゃ」 が、そんな非難はまだよい方だった。 「三十年の辛抱に
比ぶれば、八年の辛苦がなんじゃ」 「八年探して、根の尽きる武士に、幸太郎兄弟の爪....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
だら一大陸を花輪で飾ることもできよう。このような、花の命を全く物とも思わぬことに
比ぶれば、花の宗匠の罪は取るに足らないものである。彼は少なくとも自然の経済を重ん....
「ある抗議書」より 著者:菊池寛
色をサッと易えて、頭を低くうなだれました。私は、正当な刑罰が、否彼の犯した罪悪に
比ぶれば軽過るが、然し現在の刑法では極刑に当る刑罰が宣告され、その男が刑罰に対す....
「姉川合戦」より 著者:菊池寛
もに死別生別の杯を汲み交した。 浅井方の悲壮の決心推して知るべきである。これに
比ぶれば、朝倉方は大将自身出馬せず、しかも大将義景の因循姑息の気が、おのずと将士....
「真田幸村」より 著者:菊池寛
、やっと、十何万石の大名として残った。 しかし、関ヶ原で跡方もなく亡んだ諸侯に
比ぶれば、いくらかましかも知れない。 信幸、家康の許へ行くと、家康喜んで、安房....
「画の悲み」より 著者:国木田独歩
筆といい、自分は確にこれまで自分の書いたものは勿論、志村が書いたものの中でこれに
比ぶべき出来はないと自信して、これならば必ず志村に勝つ、いかに不公平な教員や生徒....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
ある、故障とな! そうしたものは絶対に存在せぬ。われ等が過去に於て嘗めたところに
比ぶれば、現代の苦艱の如きは抑々物の数でない。われ等の生活せるローマ帝政時代の末....
「おとずれ」より 著者:国木田独歩
笑に応え奉りしさまぞおかしかりける。将軍の御齢は三十を一つも越えたもうか、二郎に
比ぶれば四つばかりの兄上と見奉りぬ。神戸なる某商館の立者とはかねてひそかに聞き込....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
バーミンガムに旅行しておった時も、夫人に送った手紙に、 「結局、家の静かな悦楽に
比ぶべきものは外にない。ここでさえも食卓を離れる時は、おん身と一緒に静かにおった....
「藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
ゃ。去年の弥生狂言も慥か伊左衛門じゃ。もう伊左衛門には堪能いたしておるわ。それに
比ぶれば、七三郎どのの巴之丞は、都にて初ての狂言じゃ。京の濡事師とはまた違うて、....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
日記にも「今までは某々らの作る小説は拙なくして読むにたへずと思ひつるが、余の作に
比ぶれば彼らの作は遥に勝れり、余は元来小説家にも非ず、また小説家とならんとも思は....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
えず左に暗い谷を見ながらゆく。掩い冠さるように枝を延している紅葉の色の美しさは、
比ぶるにものがない。前には常盤木の繁れる源氏山が聳えている。後の方は今来た道を、....
「層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
部分は渓水の中を歩かざるべからず。天神峠の嶮さえあり。されど、塩谷温泉より登るに
比ぶれば、遥に平易也。毎年大雪山に登るもの百人内外、忠別川を溯りて松山温泉に一宿....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
で故郷の土を踏んだのである。 変遷の著るしからざる山間の古い駅ではあるが、昔に
比ぶれば家も変った、人も変った、自分も老いた。誰に逢っても昔の身上を知られる気配....