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「毛虫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

毛虫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
手紙」より 著者:芥川竜之介
トタン屋根は波がたにぎらぎらかがやいています。そこへ庭の葉桜《はざくら》の枝から毛虫が一匹転げ落ちました。毛虫は薄いトタン屋根の上にかすかな音を立てたと思うと、....
保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
もっとも花はまだ一輪もない。彼はそこを歩きながら、径《みち》へさし出た薔薇の枝に毛虫《けむし》を一匹発見した。と思うとまた一匹、隣の葉の上にも這《は》っているの....
星座」より 著者:有島武郎
れて黝《くろ》ずんだその幹に千社札が一枚斜に貼りつけられてあって、その上を一匹の毛虫が匐《は》っていた。そんなことまでが、夏見たままの姿で園の眼の前に髣髴《ほう....
高野聖」より 著者:泉鏡花
り》の毬《いが》の上へ赤い筋が引張ってあるばかり。 難儀《なんぎ》さも、蛇も、毛虫も、鳥の卵も、草いきれも、記してあるはずはないのじゃから、さっぱりと畳《たた....
婦系図」より 著者:泉鏡花
、お可哀相でなりません。貴郎油断をしちゃ厭ですよ、と云った――お蔦の方が、その晩毛虫に附着かれた夢を見た。いつも河野のその眉が似ていると思ったから。―― もっ....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
電信の鋼線の下あたりを、木の葉の中に現れて、茶色の洋服で棒のようなものを持って、毛虫が動くように小さく歩行いている形を視た。……鉄砲打の鳥おどしかと思ったが、大....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
った処で、一……何某……好なものは、美人。 「遠慮は要らないよ。」 悪むものは毛虫、と高らかに読上げよう、という事になる。 箇条の中に、最好、としたのがあり....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
がさ。」 「ご新姐、それがね、いや、この、からげ縄、畜生。」 そこで、踞んで、毛虫を踏潰したような爪さきへ近く、切れて落ちた、むすびめの節立った荒縄を手繰棄て....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
。雪どけの時分になると、庭が一杯水になるわ。それから春から夏へかけては李の樹が、毛虫で一杯。 それに宅中陰気でね、明けておくと往来から奥の室まで見透しだし、こ....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
ど長かった。」 打見に何の仔細はなきが、物怖したらしい叔母の状を、たかだか例の毛虫だろう、と笑いながら言う顔を、情らしく熟と見て、 「まあ、呑気らしい、早附木....
化鳥」より 著者:泉鏡花
か、狼だとか、狐だとか、頬白だとか、山雀だとか、鮟鱇だとか、鯖だとか、蛆だとか、毛虫だとか、草だとか、竹だとか、松蕈だとか、湿地茸だとかおいいでなかったのもこの....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
彼は禿瘡の一つ一つを皆赤くして著物を地上に突放し、ペッと唾を吐いた。 「この毛虫め」 「やい、瘡ッかき。てめえは誰の悪口を言うのだ」王※は眼を挙げてさげすみ....
三枚続」より 著者:泉鏡花
れだといいますとね、それだから常日頃いって聞かさないことではない、蟻じゃあなし、毛虫じゃあなし、水があったって対手は渡って来ます。しかし……鯰の伝……それならば....
妖怪学」より 著者:井上円了
す。ただ、その信仰療法に属し難きは、毛ようの細虫の出ずるの一点にあり。しかるに、毛虫を抜きて病気を療する法は、ひとり小児の疳病に限らず、虫歯を治するにこの法を用....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
、いかなる虫類にてもこれを食し、なかんずく彼らの嗜好するものは、トカゲ、蛇、蛙、毛虫の類なりという。以上、深く内部に入らざるをもって、自ら実視せるにあらず、ただ....