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毛頭
「毛頭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
毛頭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
し、こう云ったからと云って、何も平吉が損得の勘定ずくで嘘をついていると云う訳では
毛頭《もうとう》ない。第一彼は、ほとんど、嘘をついていると云う事を意識せずに、嘘....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
出ると、いつも苦々しげに、こう云った。
「佐渡は、修理に刃傷されるような覚えは、
毛頭《もうとう》ない。まして、あの乱心者のした事じゃ。大方《おおかた》、何と云う....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
に、のそのそと起きて、鉄砲しらべをして、炉端で茶漬を掻っ食らって、手製の猿の皮の
毛頭巾を被った。筵の戸口へ、白髪を振り乱して、蕎麦切色の褌……いやな奴で、とき色....
「壊れたバリコン」より 著者:海野十三
一変形に過ぎないじゃありませんか。 ヤアどうも、君に議論を吹っかけるつもりじゃ
毛頭なかったのですがネ、つい面白い原稿だねのない言訳に一寸議論の端が飛び出して来....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
せぬに、海のお世子であらせられます若様。人間界の迷惑など、お心に掛けさせますには
毛頭当りませぬ儀でございます。 公子 (頷く)そんなら可――僧都。 僧都 はは。....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
かん、待ちろ。(と抜足で寄って、小屋の戸の隙間を覗く。) 蟹五郎。朱顔、蓬なる赤
毛頭、緋の衣したる山伏の扮装。山牛蒡の葉にて捲いたる煙草を、シャと横銜えに、ぱっ....
「雷」より 著者:海野十三
なかった。しかしそんな非礼な言葉を、この福の神に告白して、その御機嫌を損ずる気は
毛頭なかったのである。 「あれは、赤外線写真でもって、活動写真を撮るためなんです....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
、はや、何とも悪食がないたいた様子、お望みの猿は血を吐いて斃ち果てておりましたに
毛頭相違ござりません。」 「うむ。」 と苦切って頷きながら、 「多一、あれを聞....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
三日の間、ラザルスはいかにも穏かな、質朴な顔をして、何事も隠そうなどという考えは
毛頭なかったようであったが、その代りに又、何ひとつ言おうというような意思もなかっ....
「露肆」より 著者:泉鏡花
しやす、三銭でございやす。」 「高い!」 と喝って、 「手品屋、負けろ。」 「
毛頭、お掛値はございやせん。宜しくばお求め下さいやし、三銭でごぜいやす。」 「一....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
で修行させるのも却ってよいでもあろう。――が、この娘としてはそうした方便の必要は
毛頭なく、もともと純潔な小供の修行には、最初から幽界の現実に目覚めさせるに限るの....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
制その他の事に関し少なからざる債権あり、新政府にてこれを引受けらるることなれば、
毛頭差支なしとてその挨拶甚だ淡泊なりしという。仏国が殊に幕府を庇護するの意なかり....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
言種に事を欠いて、私が許をかかり合は、大に打てらあ。いや、もうてっきり疑いなし、
毛頭違いなし、お旗本のお嬢さん、どうして堪るものか。話のようじゃあ念が残らねえで....
「妖怪談」より 著者:井上円了
は思いませぬものです。かように、さめておるときに夢みる人も、精神が狂っておるとは
毛頭感ぜませぬので、ほんとうに事実が見えるものであると信じております。それゆえに....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
い、「今、坪内君から聞いて来たが、君はこうこういったそうだ。飛んでもない誤解で、
毛頭僕はそんな事を考えた事はない、」と弁明した。復た例の癖が初まったナと思いつつ....