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毳
「毳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
毳の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「石狩川」より 著者:本庄陸男
大野順平は黙礼してそれを受け取った。筆の穂を墨つぼにたっぷりひたして、幾らか
毳《け》ばだった標木の前に突き膝をした。淋漓《りんり》たる思いをこめて彼は書いた....
「蝱の囁き」より 著者:蘭郁二郎
た、その上、逆光線のせいか、私のいるところからは恰度その乳房一面に、金糸のような
毳毛が生えてい、両の隆起の真ン中には、柔らかな翳を持った溝が、悪魔の巣のように走....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
能く飛ぶ〉とあり、堀田正俊の『※言録《ようげんろく》』に、朝鮮の天馬形犬のごとく
毳《にこげ》白兎のごとしといえるは、馬の属《たぐい》らしくないが翼生えた馬の古図....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
狂月に毛のむく/\と生《はえ》よかしさる歌よみと人に知られん」。その相似たるより
毳々《むくむく》と聞けばたちまち猴を聯想するので、支那で女根を※※《こそ》といい....
「菜穂子」より 著者:堀辰雄
炎のように走りまわった。そして風の去ると共に、それも何処へともなく消え、その跡の
毳立《けばだ》ちだけが一めんに残された。そのうちまた次ぎの風が吹いて来ると、新し....
「野ざらし」より 著者:豊島与志雄
とした面積を展《の》べていて、柔かな頬の線が下細りに細ってる顔の輪廓だった。薄い
毳《むくげ》が生えていそうな感じのする少し脹れ上った唇を、歪み加減にきっと結んで....
「小説中の女」より 著者:豊島与志雄
。けれど、年齢の差くらいはどうにでもなる、と私は思い返した。硬ばった額の皮膚を、
毳《むくげ》のありそうな柔かい薄い皮膚に代え、眼の奥の潤みを多くし、唇の肉付を薄....
「足の裏」より 著者:蘭郁二郎
秀三郎は、少年としては珍しく、毛深かかったのです。腕や脚には、もう生え際の金色な
毳毛が、霞のように、生えていたのです。 秀三郎は、友達の浅黒い、艶々した肌を見....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
と、薄暗さとで、幾らか、大きな犬小屋のようであった。藁をふらふらにくっつけ、長い
毳のある肩掛をぐるぐる巻きつけ、鍔のびらびらしている帽子をかぶり、泥だらけの脚を....
「魔都」より 著者:久生十蘭
たる趣きなのである。
身に合わぬダブダブのサージの古服を着、ぼんのくぼの痩せた
毳《けば》立った首をしょんぼりと垂れ、影うすく、俯向き加減に坐っているようすとい....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
戻って、この三四日は、春のような暖かさ。 黒塗の出格子窓から射しこむ陽の光が、
毳《けば》立った坊主畳《ぼうずだたみ》の上へいっぱいにさす。 赤坂、喰違《くい....
「雪」より 著者:中谷宇吉郎
ス 故ニ北陲《ほくすい》雪|多《おおき》モ害ナク利アリ 第六 其《その》質ノ軽キ
毳《にこげ》ニ勝《まさ》ル 故ニ冬時ノ蔬穀《そこく》ノ※脆《じょうぜい》ナルヲ損....