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氏素性
「氏素性〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
氏素性の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鉄鎚」より 著者:夢野久作
真屋がマグネシュームというものを焚《た》いたので、あくる日になるとその写真が私の
氏素性《うじすじょう》と一所に大きく新聞に出た。……大金持ちの遺児《わすれがたみ....
「復讐」より 著者:夢野久作
なかったのですが……」 「イヤ……村の者の噂は大部分事実なのです。品夫はたしかに
氏素性のハッキリしない者の娘で、しかも変死者の遺児に相違無いのです。つまり、その....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
えないと信じた。 要はただ、君が家系|門閥の誇の上に、一部の間隙を生ぜしめて、
氏素性、かくのごとき早瀬の前に幾分の譲歩をなさしめん希望に過ぎなかったに、思わざ....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
やったお蔭で、私の自由が得られるような事があったとしても、その時に私のホントウの
氏素性や、間違いのない本名が聞かれるかどうか、わかったものではないではないか。…....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
るか、女三界に家なし、どこにいたって駄目なものだよ、などと変な事まで口走り、婿の
氏素性をろくに調べもせず、とにかくいま都で名高い髭そうろうの大尽だから間違い無し....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
から出た乞食だよ、とまた酷いことを言います。尤も裸体が渋紙に包まれていたんじゃ、
氏素性あろうとは思わぬはず。 衣物を脱がせた親仁はと、唯悔しく、来た方を眺める....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
して、柱に背を持たしたのは若山|拓、煩のある双の目を塞いだまま。 生は東京で、
氏素性は明かでない。父も母も誰も知らず、諸国漫遊の途次、一昨年の秋、この富山に来....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
の一件じゃありませんか。ええ、おかみさん。 私等が口を利くにゃこっちの姉さんの
氏素性来歴を、ちゃんと呑込んでいなかった日にゃ、いざッて場合に、二の句が続かない....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
、娘だ、兄の児だ、弟の嫁だッて、うじゃうじゃしている……こっちが何ものだか職業も
氏素性も分らなけりゃ、先方様も同然なんだから、何しろ、人の女房で見りゃ、その亭主....
「三国志」より 著者:吉川英治
なんとなくためらわれた。 老僧は、彼のためらいを、どう解釈したか。 「そうだ、
氏素性も知れない婦人をと、疑ぐっておるのじゃろうが、心配するな。このお方は、つい....