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気味
「気味〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
気味の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
の前にあぐらをかいて、漫然と書見に耽《ふけ》っていると、突然次の間との境の襖が無
気味なほど静に明いた。その明いたのに気がついた時、無意識にあの別荘番を予期してい....
「影」より 著者:芥川竜之介
い内に、ニスの※のする戸がそっと明くと、顔色の蒼白い書記の今西《いまにし》が、無
気味《ぶきみ》なほど静にはいって来た。
「手紙が参りました。」
黙って頷《うな....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
おえ》の前に立った時は、ほとんど久闊《きゅうかつ》を叙《じょ》したいくらい、半ば
気味の悪い懐しささえ感じました。どうです。御嫌《おいや》でなかったら、その友だち....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
た。実際その瞬間彼の眼には、この夕闇に咲いた枝垂桜《しだれざくら》が、それほど無
気味《ぶきみ》に見えたのだった。無
気味に、――と云うよりもむしろこの桜が、何故《....
「河童」より 著者:芥川竜之介
》をのぞいてみました。時刻はもう一時二十分過ぎです。が、それよりも驚いたのは何か
気味の悪い顔が一つ、円《まる》い腕時計の硝子《ガラス》の上へちらりと影を落とした....
「彼」より 著者:芥川竜之介
しこんで見た。するとそこには太陽の熱がまだかすかに残っていた。
「うん、ちょっと
気味が悪いね。夜になってもやっぱり温《あたたか》いかしら。」
「何、すぐに冷《つ....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
本火をつけて見た。が、夢の中に眠った僕が現在に目を醒《さ》ましているのはどうも無
気味《ぶきみ》でならなかった。
(大正十五年十一月二十九日)....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
でございますよ。」
お蓮は眼の悪い傭《やと》い婆さんとランプの火を守りながら、
気味悪そうにこんな会話を交換する事もないではなかった。
旦那の牧野《まきの》は....
「女」より 著者:芥川竜之介
》まった脚、――蜘蛛はほとんど「悪」それ自身のように、いつまでも死んだ蜂の上に底
気味悪くのしかかっていた。
こう云う残虐《ざんぎゃく》を極めた悲劇は、何度とな....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
それも瞬《またた》き一つせずにじっと屋根裏の電燈を眺めていたと言うのですから、無
気味《ぶきみ》だったのに違いありません。上さんはそのために長湯《ながゆ》も出来ず....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
母は洋一をかばいながら、小突くように兄を引き離した。すると兄の眼の色が、急に無
気味《ぶきみ》なほど険しくなった。
「好いやい。」
兄はそう云うより早く、気違....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
》んでいた。が、身震《みぶる》いを一つすると、ちょうど馬の嘶《いなな》きに似た、
気味の悪い声を残しながら、往来を罩《こ》めた黄塵《こうじん》の中へまっしぐらに走....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
って上《あが》ったもんですから、誰でも始めのうちは真《ま》に受けなかったにしろ、
気味悪がっていたことだけは確かなんです。そのうちに海軍の兵曹上《へいそうあが》り....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
たが、「あすこですか? あすこには、何とかいう印度人の婆さんが住んでいます」と、
気味悪そうに返事をすると、匆々行きそうにするのです。 「まあ、待ってくれ。そうし....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
消え漕ぎ去る船の波も平らに月の光り水にも空にも満ちて川風に音ある時となりて清涼の
気味滴る計りなり。人に怪しめられ巡査に咎められ懊悩としたる気分も洗い去りて清くな....