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気安
「気安〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
気安の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
田舎訛《いなかなま》りを改めなかった。お鈴はこの田舎訛りにいつか彼女の心もちも或
気安さを持ち出したのを感じた。同時に又|襖《ふすま》一重向うに咳《せき》一つしず....
「春」より 著者:芥川竜之介
にこちらを眺めていた。広子は彼の顔や態度にたちまち昔の「猿」を感じた。同時にまた
気安い軽蔑《けいべつ》を感じた。彼はこちらを眺めたなり、礼をしたものかしないもの....
「死後」より 著者:芥川竜之介
結婚したか? それはまだ許せるとしても、妻は櫛部某の卑《いや》しいところに反って
気安さを見出している、――僕はそこに肚《はら》の底から不快に思わずにはいられぬも....
「夢」より 著者:芥川竜之介
た。それはわたしには持って生まれた彼女の気質としか思われなかった。わたしはそこに
気安さを感じ、時々彼女を時間外にもポオズをつづけて貰ったりした。けれども何かの拍....
「或る女」より 著者:有島武郎
その岡をあわれむ事すらもう忘れていた。
結句船の中の人たちから度外視されるのを
気安い事とまでは思わないでも、葉子はかかる結果にはいっこう無頓着《むとんじゃく》....
「或る女」より 著者:有島武郎
の女中は顔も見せずにさっさと階下《した》に降りて行ってしまった。葉子は結局それを
気安い事にして、その新聞を持ったまま、自分の部屋《へや》に帰った。どこを掃除した....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
無い、心安い熟睡を遂げた。頭を曲げ手足を縮め海老のごとき状態に困臥しながら、なお
気安く心地爽かに眠り得た。数日来の苦悩は跡形も無く消え去った。ために体内新たな活....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
母のそう呟いたことを覚えている。「祖母さん、一所に越して来ますよ。」当てずッぽに
気安めを言うと、「おお、そうかの。」と目皺を深く、ほくほくと頷いた。 そのなく....
「三つの窓」より 著者:芥川竜之介
め出した。あたりは甲板士官の靴の音のほかに人声も何も聞えなかった。K中尉は幾分か
気安さを感じ、やっときょうの海戦中の心もちなどを思い出していた。 「もう一度わた....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
くときもあるだろう。 だれでも考えそうな、たわいもない理屈を思い出して、一時の
気安めになるのも、実は払わねばならぬものは払い、言い延べのできるものは言い延べて....
「紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
ならば、いっそひとりになったほうがと思いますの。東京では女ひとりの所帯はたいへん
気安いとかいいますから……」 予は突然打ち消して、 「とんでもないことです。そ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
って、(こいし、こいし、)と泣こうか知らぬ、膚の紐になわつけて、海へ入れられるが
気安いような、と島も海も目に見えて、ふらふらと月の中を、千鳥が、冥土の使いに来て....
「橋」より 著者:池谷信三郎
りと下った。彼女は二十年もそうしていた肩の凝りを感じた。何かしらほっとしたような
気安い気持になって、いきなり男の胸に顔を埋めてしまった。 彼女の薬指にオニック....
「謡曲仕舞など」より 著者:上村松園
りませんが、普通一と通りの魚類は売りに来ますし、ここの海でとれとれの新鮮なものも
気安く得られますので、その日その日のことには、決して不自由などは感じません。しか....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
通勤なので、住込んでいるのは若い店員ばかり。だから夜ともなれば、えらい人のいない
気安さから向かいの店のうなどんなどをかけてトランプのバクチをやる、女遊びはする乱....