気息[語句情報] » 気息

「気息〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

気息の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
。が、やがて竹の筒《つつ》を台にした古風なランプに火が燈《とも》ると、人間らしい気息《いぶき》の通う世界は、たちまちそのかすかな光に照される私の周囲だけに縮まっ....
或る女」より 著者:有島武郎
ばかりを見つめながら、五体はふらふらとたわいもなく岡のほうによりそった。吐き出す気息《いき》は燃え立って岡の横顔をなでた。事務長は油断なく角燈で左右を照らしなが....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
な巻煙草のようなものを口に銜《くわ》えて青い煙をほがらかに吹いていた。そこからは気息《いき》づまるような不快な匂が彼れの鼻の奥をつんつん刺戟《しげき》した。 「....
小さき者へ」より 著者:有島武郎
せたりした。産婆が雪で真白になってころげこんで来た時は、家中のものが思わずほっと気息《いき》をついて安堵《あんど》したが、昼になっても昼過ぎになっても出産の模様....
溺れかけた兄妹」より 著者:有島武郎
》った妹の手を引いてあとから駈けました。少しでも早く海の中につかりたいので三人は気息《いき》を切って急いだのです。 紆波《うねり》といいますね、その波がうって....
星座」より 著者:有島武郎
から眼を放して機械を見つめた。今まで安らかに単調に秒を刻んでいた歯車は、きゅうに気息《いき》苦しそうにきしみ始めていた。と思う間もなく突然暗い物隅から細長い鉄製....
親子」より 著者:有島武郎
部屋の入口にかしこまった。 父は風呂で火照った顔を双手でなで上げながら、大きく気息を吐き出した。内儀さんは座にたえないほどぎごちない思いをしているらしかった。....
海底都市」より 著者:海野十三
たら、鳴りをしずめる以上にへたばってしまって、僕の足許《あしもと》に長く伸びて、気息《きそく》えんえんである。 「さあ、僕の提案を君たちは採用するか、採用しない....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
単な言葉が、何を言い顕わして居るかを、直ぐ見て取る事が出来た。余りの不意に思わず気息を引くと、迸る様に鋭く動悸が心臓を衝くのを感じた。而してそわそわしながら、ヤ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
けたバケツの水は、南瓜にしぶいて、ばちゃばちゃ鳴るのに、障子一重、そこのお京は、気息もしない。はじめからの様子も変だし、消えたのではないか、と足首から背筋が冷い....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
した。私はそこで忠実な家来や腰元を相手に余生を送り、そしてそこでさびしくこの世の気息を引き取ったのでございます。 落城後それが何年になるかと仰ッしゃるか――そ....
幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
きません。で、さっそくたましいはからだへもどって来ました。すると、みるみる死骸に気息がでて来ました。夜番は、これこそ一生に一どの恐しい夜であったと白状しました。....
人魚のひいさま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
。人魚のひいさまも、やはりそれとおなじものになって目にはみえないながら、ただよう気息のようなものが、あわのなかから出て、だんだん空の上へあがって行くのがわかりま....
活人形」より 著者:泉鏡花
泰助は医師に逢いて、予後の療治を頼み聞え、病室に行きて見るに、この不幸なる病人は気息|奄々として死したるごとく、泰助の来れるをも知らざりけるが、時々、「赤城家の....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
七条下ル堀川の小さな家へ移った。ここで細々とまぐさ屋を続けたが世帯は苦しく、私は気息えんえんの有様である。ちょうど明治三十七年、日本がロシアに宣戦を布告した年で....