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気稟
「気稟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
気稟の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
で、武にも勝れ母に似て容姿も美しく天晴れ優美な若武士であったが、いわゆる詩人的|
気稟とでも云おうか、憂鬱であってしかも快活、真面目であってしかも滑稽、そうしてい....
「人生における離合について」より 著者:倉田百三
かような情緒にほだされていわゆる濡れ場めいた感情過多の陥穽に陥るようなことはその
気稟からも主義からも排斥すべきであって、もっと積極的に公共の建設的動機と知性とを....
「地上」より 著者:島田清次郎
、懐かしさに夜の更けるのを知らなかった。平一郎は冬子がやはり昔のように美しくて、
気稟があって、荘厳で、淋しそうであるのにどんなに悦んだかしれない。そして、平一郎....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
いたが、そんな飜訳よりも彼自身のものを書いた方がよかりそうに思われるほど、詩人の
気稟に富んだ男だった。 増野氏が大阪にいる頃、私は梅田駅の附近でたびたび彼を見....
「雨の小やみ」より 著者:宮本百合子
原龍三郎、やっぱり細川護立侯の顔を立てるとか立てぬとか。由来、日本の芸道の精髄は
気稟にあった。気魄ということは芸術の擬態、くわせものにまでつかわれるものであるが....
「餌」より 著者:宮本百合子
づくろいをしようともせず、立木の中の最も高い頂に四辺を眺めて居る小鳥の姿は、一種
気稟あるもののように見えた。じっと動かない焦点が出来た為、私の瞳は、始めて動くと....
「鴎外・漱石・藤村など」より 著者:宮本百合子
けられて来ていたこともうかがわれる。鴎外はそれと正面から争うことに芸術家としての
気稟を評価するたちではなかった。それを外部に示さずに耐えている態度に叡智があると....
「「建設の明暗」の印象」より 著者:宮本百合子
いろいろと考えさせられた。 本間教子は、友代の素朴な熱心な活動的な天稟のままに
気稟《テムペラメント》の側から全幕を演じ、この幕もそのようなものとして自然に演じ....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
級勤人の生活や娼婦の生活に対する作者の心持と、荷風や武麟や丹羽のかく市井風俗との
気稟のちがいを感じます。どうして後者の作家らは目先の物象しか見ないでしょう。浅は....
「長崎の印象」より 著者:宮本百合子
与って力あるのだ。 黄檗の建物としてはどちらが純正なものなのか。或は唯造営者の
気稟の相異だけでこうも違うのか。私共は解答者を得ない疑問を持ち合ったまま、再び山....
「童子」より 著者:室生犀星
がありましたから……。」 そういうと、すぐ帰ってしまった。どこか重々しく一流の
気稟をもっていた。わたしは写野さんに見てもらったことを喜んだ。そして信じた。 ....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
は、前へ行く美少年の腰に気をとられていた。長身で色白な人だった。粗服だが、どこか
気稟の高い風が見える。髪から顎へ、紫の布を頭巾結びにたらりとつつみ、革袴、新しい....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
与三も、そういって、手から手へ、再度、手紙を渡して読み直しながら、 「文字にも、
気稟がみえる」 「人物らしいな」 と、呟いた。 庄田喜左衛門は、 「もし、こ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
な皮肉もあまりいわなくなった。総じて重々しい風采となり、その裡に養われて来た剣の
気稟というものが、ようやく人格化して来たものと見てよかろう。 そのせいもあろう....