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「気韻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

気韻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ちっとは足でも歩いて見ろ。 蝶 ふん、ちっとは羽根でも飛んで見ろ。 又気韻は作家の後頭部である。作家自身には見えるものではない。若《も》し又無理に見よ....
城のある町にて」より 著者:梶井基次郎
一種の美しさを添えるものである。しかし入江の眺めはそれに過ぎていた。そこに限って気韻が生動している。そんなふうに思えた。―― 空が秋らしく青空に澄む日には、海....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
司《つかさ》どる人の歌めく天《あめ》が下《した》に住まずして、半滴《はんてき》の気韻《きいん》だに帯びざる野卑の言語を臚列《ろれつ》するとき、毫端《ごうたん》に....
草枕」より 著者:夏目漱石
の画家に至っては、多く眼を具象《ぐしょう》世界に馳《は》せて、神往《しんおう》の気韻《きいん》に傾倒せぬ者が大多数を占めているから、この種の筆墨に物外《ぶつがい....
三四郎」より 著者:夏目漱石
せんよ。どこまでも深見さんの水彩なんだから。実物を見る気にならないで、深見さんの気韻を見る気になっていると、なかなかおもしろいところが出てきます」と注意して、原....
婦系図」より 著者:泉鏡花
えていた――この方が、姿も佳く、よく似合う。ただし媚しさは少なくなって、いくらか気韻が高く見えるが、それだけに品が可い。 セルで足袋を穿いては、軍人の奥方めく....
食魔」より 著者:岡本かの子
いようにしなければならぬ。掻き交ぜ過ぎた和えものはお白粉を塗りたくった顔と同じで気韻は生動しない。 「揚ものの衣の粉の掻き交ぜ方だって同じことだ」 こんな意味....
花吹雪」より 著者:太宰治
と思う。あのひとなどは、さすがに武術のたしなみがあったので、その文章にも凜乎たる気韻がありましたね。あの人は五十ちかくなって軍医総監という重職にあった頃でも、宴....
浮雲」より 著者:二葉亭四迷
る時はお勢は所謂|女豪《じょごう》の萌芽《めばえ》だ。見識も高尚《こうしょう》で気韻も高く、洒々落々《しゃしゃらくらく》として愛すべく尊《たっと》ぶべき少女であ....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
砂の竹林を越えるとすぐ、その砂州に出られた。川向いには山がせまって、何か支那風の気韻のある美しい景色であった。 先生は読書に倦んではこの河原に歩きに出られたの....
魔都」より 著者:久生十蘭
》調|呂旋《ろせん》であるべきこの曲が平調で唄われるさえ訝しいのに、宮声に凄切の気韻があったのはどうしたわけか。……ハテナ」 と腕を組んで沈思する体であったが....
痀女抄録」より 著者:矢田津世子
に高めたところに至上のものが生まれる、とは師匠の言葉で、その象徴も極致に達すると気韻微妙な文様としての和をみせる、「天寿国繍帳」はこの極みに達していると語られる....
明治哲学界の回顧」より 著者:井上哲次郎
、深遠、幽邃、壮大、雅麗等の諸性質はそなえておらなければならぬが、また超快感的の気韻情調の観るべきものを必要とする。すなわち人を引いて彼岸の理想境に入らしむる底....
近作鉢の会に一言」より 著者:北大路魯山人
ましたら、私は即日即時作陶を断念しますかも分りません。それと反対に未熟ではあるが気韻生動して作陶に生命あるものとなされるならば、私は欣然として層一層研究を進め後....
南画を描く話」より 著者:中谷宇吉郎
ので、本当に夢かとばかり喜んだ。特にこの絵は非常な傑作で、簡単な素描ながら、その気韻《きいん》と香りの高さとには心のしずまるものがあった。覗《のぞ》き込んだ細君....