水を打ったよう[語句情報] » 水を打ったよう

「水を打ったよう〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

水を打ったようの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
失って倒れたのを見て居《お》るのでございますから、御簾《みす》の内も御簾の外も、水を打ったように声を呑んで、僧俗ともに誰一人、進んであの沙門の法力を試みようと致....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
った。 世話に来た人たちは一人去り二人去り、やがて川森も笠井も去ってしまった。水を打ったような夜の涼しさと静かさとの中にかすかな虫の音がしていた。仁右衛門は何....
冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
《そりみち》が寒ざむと白く匍っていた。日は谿向こうの尾根へ沈んだところであった。水を打ったような静けさがいまこの谿を領していた。何も動かず何も聴こえないのである....
義民甚兵衛」より 著者:菊池寛
庄屋を庇うて、座敷へ上げ、郡奉行の役人たちを案内する。庄屋正面へ出る。村人たち、水を打ったように静かになる) 茂兵衛 (老眼をしばたたき一座を見回しながら)かよ....
深夜の市長」より 著者:海野十三
ーッと喚声をあげたが、あとは中からどんなものが飛び出すかと一座は緊張の極に達し、水を打ったようにシーンと鎮まりかえった。 中谷助役は、金庫の前に片膝をついて、....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
聯隊は、十七機を集結し、浦塩斯徳に向け、引揚中である」 一座は、興奮を越えて、水を打ったように静まり反った。 米国の太平洋、大西洋両艦隊は、圧倒的な大航空軍....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
びた。 が、于に向っては、すぐもとの通りにひきゆがんだ。 職場で、工人達は、水を打ったようにしんとなって、耳を澄まし、仕事をつゞけていた。器械の動く騒音だけ....
崩れる鬼影」より 著者:海野十三
ました」 私も警官たちと一緒にガタガタと靴を鳴らして戸口へ飛び出しました。外は水を打ったように静かな眺めです。月光は青々と照り亙り、虫がチロチロと鳴いています....
南地心中」より 著者:泉鏡花
、桟敷へ狼を飼ったようです。(泣くな、わい等、)と喚く――君の親方が立女形で満場水を打ったよう、千百の見物が、目も口も頭も肩も、幅の広いただ一|人の形になって、....
」より 著者:黒島伝治
人だって、生きる権利は持っている筈だ!」そう云っているように見えた。 兵卒は、水を打ったようにシンとなって、老人の両側に立った。彼等の眼は悉く将校の軍刀の柄に....
石塀幽霊」より 著者:大阪圭吉
路は真っ昼間だというのに猫の子一匹も通らず、さんさんと降りそそぐ白日の下にまるで水を打ったような静けさであった。その静寂のなかで不意に惨劇がもちあがったのだ。 ....
おせん」より 著者:邦枝完二
った。 玄庵は徐かに手を振った。 「どなたもお静かに。――」 「はい」 急に水を打ったような静けさに還った部屋の中には、ただ香のかおりが、低く這っているばか....
白痴の知恵」より 著者:小酒井不木
んが、とにかく一度ためしてみますから、どうかお静かにご覧を願います」 あたりは水を打ったように、しーんと静まり返りました。やがて留吉はお安さんとともに、俊夫君....
三枚続」より 著者:泉鏡花
うに暑を忘れた、敷居を越して溢れ込んだ前の大溝の雨溜で、しっくい叩の土間は一面に水を打ったよう。 愛吉がいう処も、大雨の後をそよ吹く風も、太く身に染みた様子で....
雷門以北」より 著者:久保田万太郎
わたしの尋常二、三年の時分、運動場にならんでこれから教場へ入ろうとするとき、その水を打ったような中で、突然うしろから、肩さきをつかんでわたしは列外に引ずり出され....