水先[語句情報] » 水先

「水先〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

水先の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
ち》のような狭い内海を動揺もなく進んでいた。船長はビクトリアで傭《やと》い入れた水先《みずさき》案内と二人ならんで立っていたが、葉子を見るといつものとおり顔をま....
或る女」より 著者:有島武郎
ではかなりに苦しんでいるに違いない。倉地の事業というのは日本じゅうの開港場にいる水先《みずさき》案内業者の組合を作って、その実権を自分の手に握ろうとするのらしか....
新生」より 著者:島崎藤村
はいられなかった。それを自分の運命の究極とはどうしても考えたくなかった。「死」を水先案内と呼びかけた人のような熱意を振い興《おこ》して、この人生の航海に何かもっ....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
女性を持ち、いつになっても感情のまま驀地に行くかの女の姿を見ると、何となく人生の水先案内のようにも感じられた。そこでまた柳の根方に片足かけ、やおら二本目の煙草を....
雛妓」より 著者:岡本かの子
けてはいるが、何か眩しいように眼瞼を震わせ、瞳の焦点は座敷を抜けて遥か池か彼方の水先に放っている。それは小娘ながらも臆した人の偽りをいうときの眼の遣り所に肖てい....
聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
いでいたが、それを見て、拡大鏡を振り廻していた一人の刑事が側に寄って来た。 「法水先生、鐘ですか? しかしあの大鐘は今も上って見たところですが、二三人かかって手....
英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
いるらしい浮標が、夥しく浮び、河口を出ていく数隻の商船群の前には、赤い旗をたてた水先案内らしい船が見えるが、これは機雷原を避けていくためであろう。またはるかに港....
太平洋魔城」より 著者:海野十三
「それだから、お前はだめだというんだ。太刀川は、日本進攻の際の、このうえないいい水先案内なんだ。お前には、それが分からないのか」 「え?」 「この男は、海洋学の....
黒百合」より 著者:泉鏡花
のは父上の役、錨を抜くのは慶造貴様の職だ。皆に食事をさせるのはお兼じゃあないか。水先案内もあるだろう、医者もあろう、船の行く処は誰が知ってる、私だ、目が見えない....
宝島」より 著者:佐々木直次郎
縦しなければならなかった。が、私は上手な機敏な助手だったと思うし、ハンズは優れた水先案内人だったと信ずる。というのは、船は、見るも気持のよいくらい正確に手際よく....
家なき子」より 著者:楠山正雄
いちばん気丈なエチエネットすら今度の大波にはすっかり足をさらわれた。わたしたちの水先案内が海に落ちたので、あとの子どもたちはかじを失って、波のまにまにただようほ....
アラビヤンナイト」より 著者:菊池寛
大あらしにあって、風のまにまに、あちらこちらと流されたあげく、とうとう、船長も、水先案内も、どこをどう走っているのか、だんだん、たよりなくなってゆくばかりでした....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
をもって、こうした人びとの自発的行動をしばしば注意して見ていたのであった。やがて水先案内が「出帆!」と叫ぶと、運搬夫や、例の真鍮ボタンに青い上衣の連中は、まるで....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
へん、めっそうもねえ」 と吐き出すように云い放って、 「のう友田屋、おぬしは法水先生のお気に入りで、えらあく学問にも身を入れたものだが、新劇とやらはいざ知らず....
取舵」より 著者:泉鏡花
※息して面をぞ見合せたる。 まさにこの時、衝と舳の方に顕れたる船長は、矗立して水先を打瞶りぬ。俄然汽笛の声は死黙を劈きて轟けり。万事休す! と乗客は割るるがご....