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水口
「水口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
水口の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
――やっぱり人間眼の悪いと申す事は、仕方のないもんでございますね。」
婆さんは
水口《みずぐち》の腰障子を開けると、暗い外へ小犬を捨てようとした。
「まあ御待ち....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
鍵惣が乗って来た車だけで、これは遠くで眺めたのよりもずっと手前、ちょうど左官屋の
水口の前に太ゴムの轍《わだち》を威かつく止めて、バットの吸殻を耳にはさんだ車夫が....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
予防すべき用意に遑《いとま》あらざりき。渠が塀ぎわに徘徊《はいかい》せしとき、手
水口《ちょうずぐち》を啓《ひら》きて、家内の一個《ひとり》は早くすでに白糸の姿を....
「生きている腸」より 著者:海野十三
。 ガラス管の中から、清澄なる液をピューレット一杯に吸いとった。そしてそれを排
水口に流した。 そのあとで、薬品棚から一万倍のコリン液と貼札してある壜を下ろし....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
不運ですね。時候は盆前、娘の一周忌と、うまく道具が揃っているもんだから、夜ふけに
水口からそっと忍び込んで、師匠を殺す、蛇をまき付ける。すべておあつらえの通りの怪....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
蝶は無言で首を振った。半七はすこし考えていたが、やがて三畳から台所へ這い出して、
水口からそっと表へぬけた。 路地のそとは月が明るかった。角から四、五軒さきの質....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
ようと思った方が多かった。 干潮の刻限である為か、河の水はまだ意外に低かった。
水口からは水が随分盛んに落ちている。ここで雨さえやむなら、心配は無いがなアと、思....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
もせぬので、お蔦が、 「御覧、」と目配せする。 覗くは失礼と控えたのが、遁腰で
水口から目ばかり出したと思うと、反返るように引込んで、 「大変でございます。お台....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
…ああ、ちょうど、あの音、……洗面所の、あの音でございます。」 「ちょっと、あの
水口を留めて来ないか、身体の筋々へ沁み渡るようだ。」 「御同然でございまして……....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
家では父が死んだのちに、おなじ路地のなかで南側の二階家にひき移って、わたしの家の
水口がお玉さんの庭の板塀と丁度むかい合いになった。わたしの家の者が徳さんと顔を見....
「時計屋敷の秘密」より 著者:海野十三
してもあかりがつかなかった。 そのくらやみの中で、八木君は足でさぐりながら、出
水口の様子をしらべた。 「うむ、すごいいきおいで、水が下からわいてくる。これはき....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
女であった。そのあとから溝口もつづいてはいった。 お銀はさらに台所へまわって、
水口の戸をすこし明けてうかがうと、溝口と元吉は女を介抱して奥へ連れ込んで行くらし....
「有喜世新聞の話」より 著者:岡本綺堂
女であった。そのあとから溝口もつづいてはいった。 お銀はさらに台所へまわって、
水口の戸をすこし明けてうかがうと、溝口と元吉は女を介抱して奥へ連れ込んで行くらし....
「黄八丈の小袖」より 著者:岡本綺堂
向った角店で、材木置場には男達の笑い声が高く聞えた。お菊はそれを聞くとも無しに、
水口にある下駄を突っかけて、台所から更に材木置場の方へぬけ出して行った。そこには....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
然天窓から打かぶせる気、お勝がそんな家業でも、さすがに婦人、びったりしめて行った
水口の戸を、がらりと開けて、 「畜生!」といったが拍子抜け、犬も何にも居ないので....