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「水呑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

水呑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
勝負事」より 著者:菊池寛
って、手を合せながら、 『お前さんの代で、長い間続いていた勝島の家が、一文なしの水呑百姓になってしまったのも、わしゃ運だと諦めて、厭いはせんが、せめて死際に、お....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
あった。 おこよは四十を越えた盲目の母とふたりで貧しく暮らしている娘であった。水呑み百姓の父はとうに世を去って、今年十四になる妹娘のお竹は、四里ばかり距《はな....
義民甚兵衛」より 著者:菊池寛
たかのう。一石百五十匁もしたら、売ろうと思っとるんじゃないか。こちとらのような、水呑百姓が大根一本だって、人にくれられるけ。無駄口利かんと、早う帰ったらええわ。....
親子」より 著者:有島武郎
場としてはいったいどこが成功しているんでしょう」 「そんなことを言ったってお前、水呑百姓といえばいつの世にでも似たり寄ったりの生活をしているものだ。それが金持ち....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
たりがあるなら、重助をよんで訊いてみよう。」 庄屋はすぐに重助を呼んだ。彼は、水呑み百姓で、一家内四人の暮らしさえも細ぼそであるところへ、この間から自分の従弟....
二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
上場を何等の内論も質問もなく一令を下して直ちに禁止する如き、恰も封建時代の地頭が水呑百姓に対する待遇である。是れ併し乍ら政府が無鉄砲なのでも属僚が没分暁なのでも....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
ら四人|詰ばかりの小さい馬車が往復しまする。岩淵の渡場手前に、姉の忰が、女房持で水呑百姓をいたしておりまして、しがない身上ではありまするけれど、気立の可い深切も....
星女郎」より 著者:泉鏡花
は茶碗一つ無いらしい。いや、粗いどころか冥加至極。も一つ唐草の透し模様の、硝子の水呑が俯向けに出ていて、 (お暑いんですから、冷水がお宜しいかも知れません。それ....
フランダースの犬」より 著者:菊池寛
いを、どうしてもあきらめることができず、いや、ますます燃えさかるのみでした。身は水呑百姓の子供のあわれな牛乳配達にすぎなかったけれど、ネルロの心は常に高く、大画....
アド・バルーン」より 著者:織田作之助
里もあるという大きな池の傍の百姓だったそうです。里子を預かるくらいゆえ、もとより水呑みの、牛一頭持てぬ細々した納屋暮しで、主人が畑へ出かけた留守中、お内儀さんが....
坑鬼」より 著者:大阪圭吉
坑の奥から駈け出して来た。坑夫は係長を見ると、立止って固くなりながら云った。 「水呑場で、安全燈を一つ拾いました」 「なに、安全燈を拾った?」 係長は険しい顔....
式部小路」より 著者:泉鏡花
覧なさい、香を嗅いだばかりで、ぐらぐらと眩暈がして、背後へ倒れそうなやつを、湯呑水呑で煽りやがるんで、身体中の血が燃えてまさ。 ですから、おかみさん、ちょっと....
賤民概説」より 著者:喜田貞吉
、さりとて良民としては待遇されなかったのであった。 徳川時代になって、土佐では水呑百姓の類をモート(間人)と云って、もちろん賤民扱いはしないが、一人前の人格を....
融和促進」より 著者:喜田貞吉
という理由がどこにありましょう。万事現状維持の旧幕時代ならばいざ知らず、今日では水呑百姓と賤しめられ、下司下郎と蔑まれたものの子孫でも、運と努力とでは大臣にも大....
融和問題に関する歴史的考察」より 著者:喜田貞吉
専横をきわめて、争って天下の土地を占有するようになりましては、公民たる農民も事実水呑百姓の状態になってしまいました。こうなっては公民という資格はもはや何の役にも....