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「水声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

水声の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
合せて、互いに嗤い合うだけであった。が、更に一年経った。市九郎の槌の音は山国川の水声と同じく、不断に響いていた。村の人たちは、もうなんともいわなかった。彼らが嗤....
芽生」より 著者:島崎藤村
私は急に旅行を思い立った。磯部《いそべ》の三景楼というは、碓氷川《うすいがわ》の水声を聞くことも出来て、信州に居る時分よく遊びに行った温泉宿だ。あそこは山の下だ....
新生」より 著者:島崎藤村
は自分の借りている部屋の方へ行った。橋の畔から帰りがけに聞いて来たヴィエンヌ河の水声はまだ彼の耳の底にあった。彼は巴里の狭苦しい下宿に身を置いたよりも、その田舎....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
木声は高く清らかく、火声は焦れて潤いなく、土声は重く且つ沈み、金声は響鐘の如く、水声は円く滞りなく、これを五音と申します。……声あれども響きなきは、吉もなければ....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
颯々と云う音。はっとして余は耳を立てた。松風か。否、松風でない。峰の嵐でもない。水声である。余は耳を澄ました。何と云う爽な音か。此世の声で無い。確に別天地から通....
谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
、一と休みして、いよいよ徳本峠にかかる、河原が急になって、款冬や羊歯が多くなり、水声が下から追っかけて来る、頭の上は、枯木が目立って白く、谷間に咲くウツギの花も....
サレーダイン公爵の罪業」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
達の足音、そうした物音に混って、二人の客人は家の四方に小歇みなくザワザワと流れる水声を聞くことが出来た。 「どうも廻り廻って悪い場所に来たもんじゃなア」と師父ブ....
四国遍路日記」より 著者:種田山頭火
銭九銭米二合だけなり。 今日の功徳は米六合と銭六銭だった、よく食べよく寝た、終夜水声。 同行さんから、餅やら蜜柑やらお菜やら頂戴した、感謝々々。 (十一月八日)....
探偵戯曲 仮面の男」より 著者:平林初之輔
――ええ、もうだいぶ揃ったようですわ。余興も、模擬店も大成功よ。 健作――松木水声の漫談なんて、どうかと思ったが、受けたようだね。 久子――近頃の若い人には....
妖怪玄談」より 著者:井上円了
けば人語となりて聞こえ、これを禽音なりと予期して聞けば禽音となりて聞こえ、これを水声なりと予期して聞けば水声となりて聞こゆるものなり。鶯声を聞きて「法華経となく....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
山が一角を現わすかと見ると、忽ち暗くなって、すぐ前の林をかくす、歩一歩、早川渓の水声が高くなって、吾らはいつか宗平の家の前に立った。 俄に雨が降り出したので、....
江戸芸術論」より 著者:永井荷風
るに効果あり。僅《わずか》に大太皷《おおだいこ》を打叩《うちたた》きて能《よ》く水声《すいせい》風声《ふうせい》等を想像せしむるが如き簡単なる技巧は到底複雑なる....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
見る。これ、いわゆるクダナガシなり。諸川の流下すること緩慢にして、渓流といえども水声を聞かざるは、わが国と大いに異なるを覚ゆ。夜十時後クリスチャニア市に着し、公....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
蛛手に橋を架け渡す。泡立つ水が声を揚げて其根方に搦みついてはすういと流れて行く。水声が聞えなくなると皆雪の上に下り立って、無駄話に耽りながら雪渓を登り始めた。別....
黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
る程仰向かなければ頂上のあたりは眼に入らないのだ。脚の下深い谷底から唸りを持った水声が満谷の空気を揺がして衝き上って来る。体が痛い様に縮まる感じだ。こんな処に温....