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「水掛論〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

水掛論の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
伸子」より 著者:宮本百合子
、なおそうと云うのじゃないか」 伸子は、溜息をつき、云った。 「だからね、もう水掛論のようなことはやめにしましょう、ね。悪いと云えば二人がわるいのよ、喧嘩両成....
中国に於ける二人のアメリカ婦人」より 著者:宮本百合子
のもの――理性と心の声は決して妥協できない」理性と心情とは互に正当性を主張して「水掛論になる。正当な断案は下さない」と云って、そのまま次に進んでいるのである。バ....
イデオロギーの論理学」より 著者:戸坂潤
ある。吾々が独善的であるかそれとも又適宜の点に於て妥協的でない限り、之が際限なき水掛論に陥ることを、吾々は常に経験している。論争解決の事実上の困難との水掛論を始....
現代哲学講話」より 著者:戸坂潤
倣って、公平にも、それは立場であるから。だからそれが立場の問題なのである。理論は水掛論に終っても構わない、最後の武器は理論外の人格乃至立場という要塞の中に存する....
雑記(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
事を云ってしまった。交番はすぐ眼の前にあった。公平な第三者をかりなければ御互いの水掛論ではとても始末が着かないと思ったのである。車掌は「エエ、参りますよ、参りま....
理想の女」より 著者:豊島与志雄
。子供で手がふさがってるからという思いやりは、少しもないんですか。」 そういう水掛論が喧嘩の初まりだった。然しそれは具体的な事実を離れて、お互の態度に及ぶ抽象....
白日夢」より 著者:豊島与志雄
宝なもので、何でも酒のせいにすればよいと思ってる、と彼女は云った。……そんな風に水掛論に終って、なかなかはてしがつかなかった。そのうち私は変に陰鬱になって、話を....
坂田の場合」より 著者:豊島与志雄
……。」 「初めからありゃあしませんよ。」 「初めからあったんだ。」 とうとう水掛論になってしまった。こうなると、俺は黙りこむ方がいいんだ。 坂田は深い瞑想....
病室の幻影」より 著者:豊島与志雄
いうものだけを知って、存在というものを知らないのだ。 B――そんな風に云えば、水掛論に終るの外はない。理屈を止して、実際のことについて考えてみるがよい。 A....
番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
る。たとい彼女が何と訴えようとも、こちらが飽までも疎匆と主張している限りは、所詮水掛論に過ぎない。まして殿様はこちらの味方であるから、自分が強情を張り通せばきっ....
学者安心論」より 著者:福沢諭吉
の事に手を出し、さまざまの法をつくりて人民の働をたくましゅうせしめずと。いわゆる水掛論なり。然りといえども、智愚相対してその間に不和あれば、智者まず他を容《い》....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
顔を見せているが、対手は甚だ迷惑に感じた。と云って、ここで何時まで争っても究竟は水掛論である。市郎も終末には黙って了った。 安行も考えた。何方の云うことが真実....
法隆寺再建非再建論の回顧」より 著者:喜田貞吉
ころで立ち別れて、記録と実物との両方面から、爾後も相変らず別々の軌道を走りつつ、水掛論の如き状態を以て数年間を経過したのであった。かくて明治三十八年に至り、建築....
味覚馬鹿」より 著者:北大路魯山人
料理だと簡単にいい切れるものではない。いい切った後から、とやかくと問題が起こり、水掛論が長びき、焦点がぼけてしまうのが常だからだ。昔もそうだが、近頃ではなお更で....
千里眼その他」より 著者:中谷宇吉郎
《さぎ》の挿入し得る条件だったのであるが、それだといって実験を打ち切れば、結局|水掛論《みずかけろん》に終り、火は益々燃え上るばかりである。今一つは、これは想像....