水掻き[語句情報] »
水掻き
「水掻き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
水掻きの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十二支考」より 著者:南方熊楠
わちこれを湖畔に伴れ行き水に映れる月影を示す。象月に謝罪せんとて鼻を水に入るるに
水掻き月影|倍多《ふえ》たり、兎象に向い汝湖水を擾《みだ》せし故月いよいよ瞋《い....
「雪の白峰」より 著者:小島烏水
長きところよりも紛《まご》う方なき水鳥に候、埴輪の遺品に同じ形の鳥と見給うべし、
水掻きまであり、高さここより見て、一間も候べきか、甲府附近を、最も観望宜しき場処....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
拳をあげくらい空を撫でている。生物は、わずか数種の爬虫類がいるだけで、まったく、
水掻きをつけ藻をかぶって現われる、水棲人の棲所というに適わしいのである。すると、....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
っているのだ。よく身体が据らないほど狭い独木舟なので、土人はみな片膝ついただけで
水掻きのような櫓をあやつっている。遠くから見ると、まるで曲馬団の綱上踊子だ。 ....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
――のからだに分別くさい巨大な顔が載っかって、しかも極端にほそい小さな両手には、
水掻きのようなものがついている。それが、何らの興味もなさそうにしずかに仏蘭西語の....
「一条の縄」より 著者:宮本百合子
れて活き出そうとする天地の中に、雄鴨は、昨日の夜中と同様に、音なしく仰向き卵色の
水掻きをしぼませ、目を瞑って、繩に喰いつかれて居るのである。 彼の薄い瞼一重の上に、太陽は益々育ち始めた。....
「馬妖記」より 著者:岡本綺堂
それは海馬などと言うべきものではあるまい。海馬は普通にあしかと唱えて、その四足は
水掻きになっているのであるから、むやみに陸上を徘徊する筈がない。おそらくそれは水....
「痀女抄録」より 著者:矢田津世子
の水の面には、背に色彩りあざやかな紋のある水鳥が游いでいた。うちつれて赤い小さな
水掻きをうごかしながらその狭いかこいの中を円を描くようなふうに游いでゆく。陽に煌....
「古寺巡礼」より 著者:和辻哲郎
らない。説法の印を結ぶ手だけをとって見ても、壁画の手の力強い確かな描写に対して、
水掻きのついているこの画像の手は、弱々しい、曖昧な描写だと言ってよい。あの壁画に....
「追放されて」より 著者:神西清
ど厭わしいらしい。急ぎもせずにカルバスへ跳び移った。……韃靼人と三人の渡船夫は、
水掻きの広い長い橈を握る。暗がりで見ると、それはまるで蟹の螫のように見えるのだ。....
「随筆 新平家」より 著者:吉川英治
近来何匹もいなくなったという話。鑑識法としては、脚の爪に、もう一つ、雑種にはない
水掻きみたいな爪があるのが良く、顔は両眼の眉間せまく、狼の精気と、狸のような顎を....