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水棹
「水棹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
水棹の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「八人みさきの話」より 著者:田中貢太郎
磧へ着けてあった渡舟の傍へ往くと、常七は踞んで重りの石を持って舟へ乗り、それから
水棹を張った。 「渡船……」 三度目の声が鼓膜を慄わして響いた。 「お――い」....
「雷峯塔物語」より 著者:田中貢太郎
つはちょうどいい、乗っけてもらおう」 許宣は急いで足を洗って舟へ乗った。船頭は
水棹を張って舟を出し、舳を東へ向けて艪を立てた。 「もし、もし、船頭さん、すみま....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
へ向って流れ出しております」 お雪ちゃん一人が狼狽《ろうばい》しきって、立って
水棹《みさお》を手さぐりにして、かよわい力で、ずいと水の中へ突き入れてみますと、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
若い船頭さんが恐縮する。この兄いは、ちょっと、いなせなところがある。恐縮しながら
水棹《みさお》を置き、鉢巻を取りながらやって来ると、 「兄い、おめえは土地の人か....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
じき近くであったから、その翌日大谷句仏師を訪ねた。が折悪しく旅行の留守とかで粟津
水棹氏が応接せられた。そして大谷家の表座敷から本堂や祖師堂等を案内せられたが、そ....
「東上記」より 著者:寺田寅彦
け付くれば旅立つ人見送る人|人足船頭ののゝしる声々。車の音。端艇|涯をはなるれば
水棹のしずく屋根板にはら/\と音する。舷のすれあう音ようやく止んで船は中流に出で....
「蛇性の婬 」より 著者:田中貢太郎
つはちょうど宜い、乗っけてもらおう」 許宣は急いで足を洗って舟へ乗った。船頭は
水棹を張って舟を出し、舳を東へ向けて艫を立てた。 「もし、もし、船頭さん、すみま....
「湖水と彼等」より 著者:豊島与志雄
い手を出して冷たい水の面を指先で掻いている、そして男の方へ向ってそっと微笑んだ。
水棹を捨てて櫂を取った青年の手元は覚束ないものであった。舟がくるりと廻った。それ....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
へ手を掛け上りに掛るから、今は丈助も死物狂いでございますゆえ、喜代松の持って居た
水棹を取って勇助の面部を望み、ピューと殴る。其の内船は漸々向河岸へ着きましたが、....
「参宮がえり」より 著者:田中貢太郎
一度沈んでいた女は艪に掴まったままで浮きあがって来た。父親はそれを見ると傍の
水棹を執って二度三度続けて殴りつけた。女はじっと父親の方を見た後に艪を放して沈ん....
「牡蠣船」より 著者:田中貢太郎
の小さな祠の傍へ寝ていたが、枯蘆のさきには一|艘の小舟が着いていて、白髪の老人が
水棹を張ってにゅっと立っていた。 「おい、おい、壮佼、起きろ、起きろ」 秀夫は....