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水気
「水気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
水気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
は、これであろう。――破れ畳の上から、往来の砂の中へ、斜めにのばした二の腕には、
水気《すいき》を持った、土け色の皮膚に、鋭い齒の跡が三《み》つ四《よ》つ、紫がか....
「鼻」より 著者:芥川竜之介
いると、ふと鼻がいつになく、むず痒《かゆ》いのに気がついた。手をあてて見ると少し
水気《すいき》が来たようにむくんでいる。どうやらそこだけ、熱さえもあるらしい。
....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
膨れた婆が、黒地の単衣の襟を抜いて、睫毛《まつげ》の疎《まばら》な目をつぶって、
水気の来たような指を組んで、魍魎《もうりょう》のごとくのっさりと、畳一ぱいに坐っ....
「或る女」より 著者:有島武郎
開いて、あわてたように腰から上を起こして、ちょうど目通りのところにあるいちめんに
水気で曇った眼窓《めまど》を長い袖《そで》で押しぬぐって、ほてった頬《ほお》をひ....
「紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
っそう詩化している。大きく畝をなして西より東へ走った、成東の岡の繁りにはうす蒼く
水気がかかっている。町の家の峯をかけ、岡の中腹を横に白布をのしたように炊ぎの煙が....
「春の上河内へ」より 著者:板倉勝宣
。吹雪は大分強い。十分用意をして午前七時半に出発した。いい雪だ。本当に粒の細かい
水気のない雪だ。理想的のブルツファシュネーだと感じながら、吹雪の中を徳本に向かっ....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
外の旱魃なれば、思うたより道中難儀じゃ。(と遥に仰いで)はあ、争われぬ、峰の空に
水気が立つ。嬉しや、……夜叉ヶ池は、あれに近い。(と辿り寄る。) 鯉、蟹、前途に....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
てあるが、俗に呼んで湯川と云う。 霞に紛れ、靄に交って、ほのぼのと白く、いつも
水気の立つ処から、言い習わしたものらしい。 あの、薄煙、あの、靄の、一際夕暮を....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
晴やかな顔をした。 「凄かったよ、私は。……その癖、この陽気だから、自然と淀川の
水気が立つ、陽炎のようなものが、ひらひらと、それが櫓の面へかかると、何となく、※....
「滝田哲太郎君」より 著者:芥川竜之介
◇ 滝田君に近いものだった。僕はそのことを奥さんに話した。「これは
水気が来ておりますから、……綿を含ませたせいもあるのでございましょう。」――奥さ....
「村芝居」より 著者:井上紅梅
れわれは飛ぶが如く趙荘さして進んだ。 両岸の豆麦と河底の水草から発散する薫は、
水気の中に入りまじって面を撲って吹きつけた。月の色はもうろうとしてこの
水気の中に....
「昔のことなど」より 著者:上村松園
、先生は雨中の絵を描いていられました。水刷毛を刷いただけでは上っ面ばかりで充分に
水気が絹に滲まないので、
水気をしっくりと滲み込ませるために刷毛で刷いた上を濡れ布....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
え失せる。注すあと、注すあと、割醤油はもう空で、葱がじりじり焦げつくのに、白滝は
水気を去らず、生豆府が堤防を築き、渠なって湯至るの観がある。 「これじゃ、牛鍋の....
「迷信解」より 著者:井上円了
見ゆれども、火渡りは物理の研究によるもできる道理にて、足の皮膚およびその面にある
水気が、ある度までは熱力に耐え、かつ熱を防ぐことを得るゆえ、そのできるとできざる....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
も、国士という桎梏から全く解放されたものは先ずなかった。身、欧羅巴の土を踏んで香
水気分に浸ったものでも頭の中では上下を着て大小を佩していた。 二葉亭もやはり、....