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水泡
「水泡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
水泡の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
た。と云って兵衛が生きたにせよ、彼自身が命を墜《おと》したら、やはり永年の艱難は
水泡に帰すのも同然であった。彼はついに枕《まくら》を噛《か》みながら、彼自身の快....
「船医の立場」より 著者:菊池寛
いで行った。沖へ出れば出るほど波が荒くなった。寅二郎も重輔も、手掌《てのひら》に
水泡《まめ》がいくつもできた。が、舟は容易に彼らの思う通りにならなかった。内側へ....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ネックの科学より、むしろ神秘対神秘力でケルミッシュではないのか。辛酸五年の労苦が
水泡《すいほう》に帰したところへ、あらたな力を抱《いだ》いて魔境へゆくケルミッシ....
「仇討三態」より 著者:菊池寛
をとって慟哭した。彼らの慟哭は、夜明けまでも続いた。 八年の辛苦が、ことごとく
水泡に帰した。張りつめた気が、一時に抜けた。兄弟は、うつけ者のごとく、ただ茫然と....
「田原坂合戦」より 著者:菊池寛
を目指すこととなった。官軍の追撃急であり、若しこの一戦に破れれば、熊本包囲の事も
水泡に帰するので薩軍は余軍のうち二千余をもって衝背軍に当り、八百余をして熊本城を....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
思われるのでございます」――城主の愛妾は顫え顫えそれでもようやくこう云った。 「
水泡よ」と城主は嘲けるように、「そうして今夜も可愛いかな?」 「はい、さようでご....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
、陥落するものときめられた。 いわゆる『粒々辛苦の末に開拓した経済的基礎』が、
水泡に帰するだろう。家も、安楽椅子も、飾つきの卓も、蓄音機も、骨董や、金庫も、す....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
ころに、空間を斜に硝子管が走っているのを認めた。そしてその硝子管の中には、小さい
水泡を交ぜた透明な液体が、たいへんな勢いで流れているのだった。それは水に違いなか....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
りであった。ただ前方二百メートルを距てた向こうに、旗艦須磨が黒煙をはきながら白い
水泡をたててゆく。 ぽぽーと、汽艇の響が、右舷の下でする。 舷梯下に、汽艇が....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
ができない。座を組織する立会人中の、ただの一人がそれであった丈でも、しばしば万事
水泡に帰せしむることがないではない。之を要するに日曜日は、心身の安逸と、過度の飲....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
――一瞬間泡がおさまると、そこはまさに月夜の美しさだった。 キラキラ光る無数の
水泡が、音符のように立ち上っていって、濃碧のどこかに動いている紅い映えが、しだい....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
ここに至って右近丸は落胆したというように、牀几にべッタリ腰かけてしまった。苦心が
水泡に帰したのである。又九|仭の功名を、一|簣に虧いてしまったのである。落胆する....
「浅沼稲次郎の三つの代表的演説」より 著者:浅沼稲次郎
は財閥独裁、警察国家を再来いたしまして、日本国民の民主的、平和的国家建設の努力は
水泡に帰するということを知らなければならぬのであります。これわれらが不信任案に賛....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
けだ。ちょっと私たちに見えなくなるだけだ。人の生死はちょうど大河の水面上に現れた
水泡が時々浮んでは、また消えるようなものだ。河の表面にある水は機会さえあればいつ....
「恐怖の幻兵団員」より 著者:大倉燁子
間かかってやったせっかくの計画も、いま一歩というところで、私立探偵の私のために、
水泡に帰しました。お気の毒ですが仕方がありません。さあ、起ち上って、私の云うこと....