水浅黄[語句情報] » 水浅黄

「水浅黄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

水浅黄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
として顔を上げると、帯も、袂も、衣紋も、扱帯も、花いろいろの立姿。まあ! 紫と、水浅黄と、白と紅咲き重なった、矢車草を片袖に、月夜に孔雀を見るような。 め組が....
」より 著者:島崎藤村
した」 夏の夜のことで、河の方から来る涼しい空気が座敷の内へ通っていた。三吉は水浅黄色のカアテンの懸った玻璃障子のところへ行って見た。そこから、石段の下を通る....
黒髪」より 著者:近松秋江
て、彼女は今年もう二十七になるのである。そう思ってまたじっとその顔を見ていると、水浅黄の襦袢の衿の色からどことなく年増らしい、しっかりしたところも見える。 女....
足迹」より 著者:徳田秋声
いたり、床の間の見事な卓や、袋棚の蒔絵の硯箱などに絹拭巾をかけたりした。主の寝る水浅黄色の縮緬の夜着や、郡内縞の蒲団を畳みなどした。 主人は六十近い老人で、禿....
」より 著者:徳田秋声
ら、そっと口をかけた。浪の音などの聞える船着きの町の遊郭には、入口の薄暗い土間に水浅黄色の暖簾のかかった、古びた大きい妓楼が、幾十軒となく立ちならんでいた。上方....
マダム貞奴」より 著者:長谷川時雨
が腰元であった。腰元は振袖《ふりそで》の白無垢《しろむく》の裾《すそ》をひいて、水浅黄《みずあさぎ》ちりめんの扱帯《しごき》を前にたらして、縄にかかって、島田の....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
って、薔薇《ばら》の簪《かんざし》を挿したり、結綿《ゆいわた》島田に結って、赤と水浅黄の鹿の子をねじりがけにしたりして、お酒をのんでいた。おおかめさんが寝間着に....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
んの袖をつけて、袷《あわせ》仕立にした腰巻き――塵《ちり》よけともいうが、白や、水浅黄《みずあさぎ》のゴリゴリした浜ちりめんの、湯巻きのこともある。黒ちりめん三....
或る男の手記」より 著者:豊島与志雄
たら。」と彼女は平気で答えた。そして日傘の先で、ぐいぐいと地面をつっついた。――水浅黄に黒で刺繍のしてある日傘を、彼女はその日一度もささないでステッキのように持....
市川九女八」より 著者:長谷川時雨
っていますって――黒っぽい透綾《すきや》の着物に、腹合せの帯、襟裏《えりうら》も水浅黄《みずあさぎ》でしたってね。そうだ、帯上げもおなじ色だったので、大粒な、珊....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
の青梅屋の新七という順序で、いずれも鷹の羽朱塗のお神矢で深くぼんのくぼを射られ、水浅黄の水干の襟を血に染めて俯伏せになって倒れている。 顎十郎は、かがみこんで....
悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
中へ風を扇ぎ入れるのは、月代の痕の青い、色の白い、若殿風。却々の美男子であった。水浅黄に沢瀉の紋附の帷子、白博多の帯、透矢の羽織は脱いで飛ばぬ様に刀の大を置いて....
レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
を気にかく) 使女A 大勢の騎士、音楽家でござりました。 使女B 白い駒に乗り、水浅黄の袍を着け、銅の楯と象牙の笛と、猫目石で象眼した一弦琴を持った二十五、六の....
雪柳」より 著者:泉鏡花
ある。優婉、娜麗、白膩、皓体、乳も胸も、滑かに濡々として、まつわる緋縮緬、流れる水浅黄、誰も知った――歌麿の蜑女一集の姿。ふと、びいどろの船に、紅だの白だのひら....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
開いている下の縁に佇んで、雪から滴る水を飲みながら一息入れる。純白なる雪の断面が水浅黄に冴えた色の美しさ。此裂目はいつも七月下旬になると深く全渓を横断して顕われ....