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水浸し
「水浸し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
水浸しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
であったが、お島の影はどこにも見えずに、主人の小野田が雑巾《ぞうきん》を持って、
水浸しになった茶の間の畳をせっせと拭《ふ》いていた。
気の小さい割には、躯《か....
「カンカン虫殺人事件」より 著者:大阪圭吉
柄を打明けて、原田喜三郎の検屍を始めた。地味な労働服を着た被害者の屍体は、長い間
水浸しになっていたと見えて、四十前後のヒゲ面も、露出された肩も足も、一様にしらは....
「地軸作戦」より 著者:海野十三
だ。何しろ氷山も雪原も一度に融けだしたんだから、町という町、防空壕という防空壕は
水浸しになり、水かさはどんどん殖えていく。この新クレムリン宮も、あと三時間以内に....
「幽霊船の秘密」より 著者:海野十三
「はあ、持って来たことには来たんですけれど、駄目なんです。ゆうべ、ボートの中が
水浸しになって、絶縁がすっかり駄目になりました。はなはだ残念です」 「ふうむ、そ....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
と搦んで、尻を立てた。 (ぼくは、はや、この方が楽で、もう遣っとるが。) と、
水浸しの丸太のような、脚気の足を、襖の破れ桟に、ぶくぶくと掛けている。 (幹もや....
「ガリバー旅行記」より 著者:スウィフトジョナサン
皇后の御座所の火事を立小便で消すことのできるような男なら、いつ大水を起して宮城を
水浸しにしてしまうかもわからない、それに、敵艦隊を引っ張って来たあの力では、一た....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
「便所か。」 と云う、髯、口許が明々として、洋燈を翳す。 この明で、小松原は
水浸しになったほど、汗びっしょりの、我ながら萎垂れた、腰の据らぬ、へとへとになっ....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
れば、僕の方から云おう。犯人が、池の水で血に染んだ手を洗ったのだが、その時附近に
水浸しになっていた木精蓮の一本があったとしたらどうだろう。勿論血の臭気を慕って蛭....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
ドッと落ちてくることはないか。
そうすれば。
この地下の部屋全体、一瞬にして
水浸しとなる。
逃《のが》るる術《すべ》はない……。
このおそれは、期せずし....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
きを変えようとしてみたが、もしも、二度とそうしてみようとすれば、舟はたちどころに
水浸しになることが、たちまちわかった。こうして、この立場にあっては、風のまにまに....
「米」より 著者:犬田卯
アだ、外米の方がよくねえか。」 「うむ、どんなもんだかよ。」 「今年は、はア、洪
水浸しの米ばかり残っていて、まアだ食いきれねえでいんだよ。いくら団子にしても、へ....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
して、 「私、………」 浅緑 十二 「大事ねえ大事ねえ、
水浸しになっていた衣服はお前あの通だ、聞かっせえ。」 時に絶えず音するは静な台....
「雨の上高地」より 著者:寺田寅彦
るえ上がるように寒かった。 河向いから池までの熊笹を切開いた路はぐしょぐしょに
水浸しになって歩きにくかった。学校の先生らしい一行があとから自分らを追越して行っ....
「墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
のたうっている息苦しさ悩ましさに、胸を喘がせ切っていたのです。二人とも、軽そうな
水浸しの運動靴で、ピチャピチャと土を濡らして歩いています。悩ましい肢体を惜しげも....
「葛根湯」より 著者:橘外男
でノックもせずにはいって来ると、いきなり入口に置いた洗面器を蹴飛ばしてそこら一面
水浸しにした。そして、 「ほほう! 外国のお方だね。これは困ったね、私は言葉がわ....