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水甕
「水甕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
水甕の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
れにある噴《ふ》き井《い》の前を通りかかると、あの娘が三四人の女たちと一しょに、
水甕《みずがめ》へ水を汲《く》んでいるのに遇《あ》った。噴き井の上には白椿《しろ....
「駈込み訴え」より 著者:太宰治
ちは一体なにをお始めなさるのだろうと不審に思って見ているうちに、あの人は卓の上の
水甕《みずがめ》を手にとり、その
水甕の水を、部屋の隅に在った小さい盥《たらい》に....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
の水を使っていた。僕はいまだに目に見えるように、顔の赤い水屋の爺さんが水桶の水を
水甕の中へぶちまける姿を覚えている。そう言えばこの「水屋さん」も夢現の境に現われ....
「十万石の怪談」より 著者:佐々木味津三
えませなんだゆえ、不審に思いましてあちらこちら探しておりますると、突然、流し元の
水甕でポチャリと水の跳ねた音がありましたのでな、何気なくひょいと覗いて見ましたと....
「不審庵」より 著者:太宰治
であった。 茶の湯も何も要らぬ事にて、のどの渇き申候節は、すなわち台所に走り、
水甕の水を柄杓もてごくごくと牛飲仕るが一ばんにて、これ利休の茶道の奥義と得心に及....
「安重根」より 著者:谷譲次
対して、韓国人はことごとくこれを否認し、ついには憤激のあまり――。 若い女が頭に
水甕を載せて出て来る。地面に胡座をかいている青年一が呼び停める。 青年一 水か。....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
もよく掻きまわして、井戸は遠いからいい気味だ、毎朝|手桶に五はいくんで来て台所の
水甕に、あいたたた、馬鹿な亭主を持ったばかりに、あたしは十年寿命をちぢめた。」と....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
丈人が圃に水をやるのに、御苦労さまにも坑道をつけた井のなかに降りて往き、そこから
水甕を抱いて出て来るのを見て、子貢がひどく気の毒がって、そんなまだるっこいことを....
「時限爆弾奇譚」より 著者:海野十三
次の第二号を見ると、こんなことが書いてあった。すなわち、 二、ソノ色、黒褐色ノ
水甕ニシテ、底ヲ逆ニスルト、赤キ「ペンキ」デ4084ノ数字ガ記サレタルモノ。 ....
「豊島与志雄著『高尾ざんげ』解説」より 著者:太宰治
れるほど大いなる苦痛は無いのではないかと思われる。そこで、深夜の酔歩がはじまる。
水甕のお家をあこがれる。教養人は、弱くてだらしがない、と言われている。ひとから招....
「勉強記」より 著者:坂口安吾
さぎ、口へ落ち、耳にたまり、遠慮会釈もなく背中へ胸へ流入する。これはもう頭自体が
水甕にほかならないと信じるようになるのであった。 人体に於て最も発汗する場所は....
「坑鬼」より 著者:大阪圭吉
き忘れたように転っていました」 水呑場――とは云っても、自然に湧き出す地下水を
水甕に受けているに過ぎなかった。それはこの片盤では、突当りの坑道にあった。そこは....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
せた。「先刻は大儀じゃ。姫も家来もこの通りじゃ。」 男は黙ってうなずいて、その
水甕をうやうやしく権右衛門の前にささげた。 「清い水か。」 「はい。あちらの村か....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
は起き上った。ランプの消えた暗い土間を、足先きで探りながら、台所へ下りて行った。
水甕から、手しゃくで、ゴクリゴクリのどをならしながら、水を飲んだ。厩小屋から、尻....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
中世文学号)に斎藤清衛博士の「草根集の研究」があって、いずれも参考になり、また『
水甕』の昭和十年この方数十回にわたり、松原三夫氏の正徹伝が載っていて、伝記研究の....