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水盃
「水盃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
水盃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「明暗」より 著者:夏目漱石
》する時機が来たと云わぬばかりにはしゃぎ出した。
「どうせ家《うち》を出る時に、
水盃《みずさかずき》は済まして来たんだから、覚悟はとうからきめてるようなものの、....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
ンガー・ボールの水を一息に飲み干したそうだ。そこで並《な》みいる士官も我劣らじと
水盃《みずさかずき》を挙げて下士官の健康を祝したと云うぜ」
「こんな噺《はなし》....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
は寛斎の前にすわって、まず自分で一口飲んだ上で、その土器を寛斎の方へ差した。この
水盃は無量の思いでかわされた。 「さあ、退いた。退いた。」 という声が起こった....
「三人の相馬大作」より 著者:直木三十五
まま、そんなことをいって、人々を眺めていた。 「一人、二人で懸かれる相手か。皆、
水盃だ」 右源太は、吐出すようにいった。組下の足軽共が、玄関へ揃ったらしく、騒....
「無系統虎列剌」より 著者:夢野久作
を引っ張り戻されて、M内科部長の媒酌で正式に結婚したがね。将来絶対禁酒というので
水盃で三三九度を遣ったそうだ。この間、子供が生まれたといって吾輩の処へ礼云いに来....
「近世快人伝」より 著者:夢野久作
その当初は選挙といっても全然暴力選挙のダイナマイト・ドン時代で、選挙運動者は皆、
水盃の生命がけであった。すこしばかりの左翼や右翼のテロが暴露しても満天下の新聞紙....
「落ちたままのネジ」より 著者:宮本百合子
築き上げて来た。彼の見事さというものは、謂わば危くも転落しそうに見える房飾つきの
水盃を、百尺竿頭に保っている、その際どいかね合いで、拍手は、その緊張に対し、その....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
「いいか」 「是非に及びませぬ、こんなことだろうと思って、家を出る時に、女房子と
水盃をして出て参りました」 「泣くな」 「泣きゃいたしませぬ」 金助は覚悟をし....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
留守中何ういう事のあろうも知れぬ、万一これが永い別れになるかも知れないと云って、
水盃などをして、刺青だらけの侠な兄いが、おい/\泣きながら川崎|辺まで送られてま....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
。八郎太は、腰の竹筒から、水を飲んで、小太郎が、手当を終って脚から手を放すと
「
水盃」
と、云って、蒼白めた顔に、微笑して、竹筒を差出した。小太郎は、父の顔を....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
どちらも無理のない願いと見て、播磨は二つながらそれを許した。三人は型ばかりの
水盃を取り交した。思い切っては、誰の眼にも涙はなかった。 春を送る雨の音は井筒....
「魔都」より 著者:久生十蘭
来たんだが、……いや、どうも……。じゃ、諸君、これでお別れする。せめて、こいつで
水盃でもして……」
と、ここまでいった時、森閑と静まりかえった遠い廊下の端の方....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
いうのだそうですから。…… 黄金の雲なんか真先よ。――銀の波も……こうなると、
水盃だわね、疾のむかし、お別れになって、灰神楽が吹溜ったような、手づくねの蝋型に....
「かたき討雑感」より 著者:岡本綺堂
ければならない。 それがために、その前夜はかたきの方を眠らせないとか、あるいは
水盃に毒を入れて飲ませるとか、種々の臆説を伝える者もあるが、そんなことはしなかっ....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
ばかりでしたので、医者から体育と養生の根本を聴いてヒントを得、一大決心で家人達と
水盃をなし、深山に分け入って全く野獣のように四つん這いの生活を断行し、山泉を呑み....