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水禽
「水禽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
水禽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「突貫紀行」より 著者:幸田露伴
よりあしければ、船に留《とど》まることとして上陸せず。都鳥に似たる「ごめ」という
水禽《みずとり》のみ、黒み行く浪の上に暮《く》れ残りて白く見ゆるに、都鳥も忍《し....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
り湖面を眺めやった。 水に沈み水に浮き、パッと飛び立ち颯と下りて来る、白い翼の
水禽以外、湖面に蠢めく何物もない。岸に近く咲いているのは黄色い水藻の花である。湖....
「蘆声」より 著者:幸田露伴
なもので、水ただ緩やかに流れ、雲ただ静かに屯しているのみで、黄茅白蘆の洲渚、時に
水禽の影を看るに過ぎぬというようなことであった。釣も釣でおもしろいが、自分はその....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
とを試みているようだ。その相手が海賊のように毛むくじゃらな泥蟹であろうと、狡猾な
水禽であろうと、または無干渉な大空そのものであろうと、そんなことは蟹にとってどち....
「ドナウ源流行」より 著者:斎藤茂吉
て、両の隠しに堅くにぎった拳を入れて歩いて行った。深い林が迫って来たとおもうと、
水禽が二つばかり水面から飛び立った。僕は驚いたが刹那に気を取直して、こんなことで....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
隆吉は返辞もせず首肯《うなず》きもしなかったが、周平と一緒に足を早めた。二人は
水禽の檻の前をもすたすた通り過ぎた。 電気や瓦斯の火がともるに間もない薄ら明り....
「神棚」より 著者:豊島与志雄
変っていた。けれど馴染の象や熊は昔通りだった。俺はぼんやり一廻りしてから、大きな
水禽の檻の前に腰を下した。年末のせいか、粗らに見物人があるきりで、ひっそりしてる....
「ダス・ゲマイネ」より 著者:太宰治
見たくなって学校の授業がすんでから、動物園に出かけていったのであるが、そのとき、
水禽の大鉄傘ちかくのベンチに腰かけてスケッチブックへ何やらかいている佐竹を見てし....
「怪しの館」より 著者:国枝史郎
ある。とはいえ殺気が漲っている。 ピシッ! 鯉が飛んだのである。 パタパタ!
水禽が羽搏いたのである。 後は森然と風さえない。 だが殺気は漲っている。 「....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
舟へ乗った。 湖上には微風が渡っていた。櫂で砕かれた波の穂が、鉛色に閃めいた。
水禽が眼ざめて騒ぎ出した。 二人は嬉しく幸福であった。 「さあ来てよ、貴郎のお....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
れる泉が湧いています。青々と常磐木が茂っています。沼には魚が住んでいて葦の間には
水禽がいます。住民はみんなよい人です。音楽と盗みとが上手です。沢山の伝説を持って....
「作画について」より 著者:上村松園
水野年方 秋山喚猿 鈴木松年 秋草 寺崎廣業
水禽 川合玉堂 恩師鈴木松年先生が、自分の上席に入賞した私のために、....
「季節の味」より 著者:佐藤垢石
方へ一ヵ月ほど早く、春機発動の期がきて早く衰え、雌の方が常に遅れているのである。
水禽は概して雄の方が上等の味を持っている。鴨、シギ、オシドリなどそれである。家鴨....
「上野」より 著者:永井荷風
忍池の周囲は肩摩轂撃《けんまこくげき》の地となったので、散歩の書生が薄暮池に睡る
水禽を盗み捕えることなどは殆ど事実でないような思いがする。然し当時に在っては、不....
「春心」より 著者:田中貢太郎
た。広巳は鳥の方へ往った。それは鵜であった。長い嘴の上の方の黄ろい古怪な形をした
水禽は、境内の左側になった池にでも棲んでいるのか人に恐れなかった。 「なんだ、鵜....