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「水脚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

水脚の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
―水が、向う岸から両岐に尖って切れて、一幅裾拡がりに、風に半幅を絞った形に、薄い水脚が立った、と思うと、真黒な面がぬいと出ました。あ、この幽艶清雅な境へ、凄まじ....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
中へ飛込んだっけ。 押問答に、小半時かかればとって、直ぐに突ん流れるような疾え水脚では、コレ、無えものを、そこは他国の衆で分らねえ。稲妻を掴えそうな慌て方で、....
南地心中」より 著者:泉鏡花
手を放すと、蛇の目輝く緑の玉は、光を消して、亀の口に銜えたまま、するするする、と水脚を引いてそのまま底に沈んだのである。 奴はじりじりと後に退った。 お珊は....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
もろ翼を添えて、白鷺が、すれすれに水を切って、鳥旦那の来り迫る波がしらと直線に、水脚を切って行く。その、花片に、いやその腹帯の端に、キラキラと、虫が居て、青く光....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
云って、こんな使いはしまいものを、お京め。と、隅田の川波、渺々たるに、網の大きく水脚を引いたような、斜向うの岸に、月村のそれらしい、青簾のかかった、中二階――隣....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
ながら思い続けた。 十四 ざんぶと浪に黒く飛んで、螺線を描く白い水脚、泳ぎ出したのはその洋犬で。 来るのは何ものだか、見届けるつもりであったろ....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
苫をはねのけてそれへ跳び移り、早くも砂を崩して川底から離れだした。 退き汐時か水脚の迅いこと、満々たる大河へのぞんで、舟は見る間に木の葉流し――。 彼方の川....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
る。四国屋の五ツ戸前の蔵からは、まだドンドンと艀舟へ荷が吐かれている盛りだった。水脚を入れた艀舟は、入れかわり立ちかわり、大川へ指し下り、天神の築地へ繋っている....
茶漬三略」より 著者:吉川英治
から吹きならす貝の音に応じて、各所の貝の音が答えつつ、全軍三万の兵は、堤を断った水脚のように、踵を回して動き始めたのであった。 「殿っ。殿っ……」 わしは持宝....