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「水菓子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

水菓子の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
、引緊めた腕組になったと思うと、林檎の綺麗な、芭蕉実の芬と薫る、燈の真蒼な、明い水菓子屋の角を曲って、猶予わず衝と横町の暗がりへ入った。 下宿屋の瓦斯は遠し、....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
す、芸も可いの。可哀相だわ、大変に塩梅が悪くって。それだもんですから、内は角町の水菓子屋で、出ているのは清川(引手茶屋)なんですけれど、どちらも狭いし、それに、....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
じりの賑かさ。――だぶだぶと湯の動く音。軒前には、駄菓子|店、甘酒の店、飴の湯、水菓子の夜店が並んで、客も集れば、湯女も掛ける。髯が啜る甘酒に、歌の心は見えない....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
ざりまして、馬車こそ通いませぬけれども、私などは夜さり店を了いますると、お菓子、水菓子、商物だけを風呂敷包、ト背負いまして、片手に薬缶を提げたなりで、夕焼にお前....
南地心中」より 著者:泉鏡花
で泣いていては済みそうもないんだが。 可しさ、それも。 と、そこへ、酒|肴、水菓子を添えて運んで来た。するとね、円髷に結った仲居らしいのが、世話をして、御連....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
路の片隅に果物売の媼一人露店出して残りたり。三角|形の行燈にかんてらの煤煙黒く、水菓子と朱の筆もて書いたる下に、栗を堆く、蜜柑、柿の実など三ツ五ツずつ並べたり。....
露肆」より 著者:泉鏡花
一品料理、一番高い中空の赤行燈は、牛鍋の看板で、一山三銭二銭に鬻ぐ。蜜柑、林檎の水菓子屋が負けじと立てた高張も、人の目に着く手術であろう。 古靴屋の手に靴は穿....
家なき子」より 著者:楠山正雄
飯にもらって食べて来るから苦しいこともなかった。けれどある日ガロフォリが、ぼくが水菓子屋にもらった一さらのスープを飲んでいるところを見つけると、なぜぼくがうちで....
故郷」より 著者:井上紅梅
|色の貝殻があったり、西瓜にこんな危険性があったり――わたしは今の先きまで西瓜は水菓子屋の店に売っているものとばかし思っていた。 「わたしどもの沙地の中には大潮....
西瓜」より 著者:岡本綺堂
というのでもなかったらしいが、元来が江戸時代の人間で、あまり果物――その頃の人は水菓子といって、おもに子供の食う物になっていたらしい。そんなわけで、平生から果物....
水菓子屋の要吉」より 著者:木内高音
一 要吉は、東京の山の手にある、ある盛り場の水菓子屋の小僧さんです。要吉は、半年ばかり前にいなかからでてきたのです。 要吉....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
と思ったが、一銭あった。……ざまあ見やがれ亡びたがね、大橋のあの柳の傍に、その頃水菓子屋があって、茹豌豆を売っていた。」 「覚えていますよ。」 「袋で持つと、プ....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
う難かし屋であった。 その上に頗る多食家であって、親しい遠慮のない友達が来ると水菓子だの餅菓子だのと三種も四種も山盛りに積んだのを列べて、お客はそっちのけで片....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
いために、どうしても二度は劇場内で飯を食わなければならないのであった。夜になって水菓子を持って来た。要するに食物の種類は今日と殆んど変わらないが、ただ変わってい....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
押すことベルを押すこと。 「紅茶を二つ。」 「こんどは珈琲だ。」 「菓子、菓子。水菓子。林檎林檎。」 遠い、いささか薄紫に煙った北方の空を鴎が幾むれも翔った。....