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水蒸気
「水蒸気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
水蒸気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「父」より 著者:芥川竜之介
にく》、空は曇っている。方々の工場で鳴らす汽笛の音《ね》が、鼠色《ねずみいろ》の
水蒸気をふるわせたら、それが皆|霧雨《きりさめ》になって、降って来はしないかとも....
「年末の一日」より 著者:芥川竜之介
は思い切って起き上り、一まず後架《こうか》へ小便をしに行った。近頃この位小便から
水蒸気の盛んに立ったことはなかった。僕は便器に向いながら、今日はふだんよりも寒い....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
の暖かさは、容易に消えてしまうものではない。
ことに日暮れ、川の上に立ちこめる
水蒸気と、しだいに暗くなる夕空の薄明りとは、この大川の水をして、ほとんど、比喩《....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
吉の靴はいつのまにかストオヴの胴に触れていたと見え、革の焦げる臭気と共にもやもや
水蒸気を昇らせていた。
「それも君、やっぱり伝熱作用だよ。」
宮本は眼鏡《めが....
「或る女」より 著者:有島武郎
木も青い焔《ほのお》のようになった。長く寒く続いた五月雨《さみだれ》のなごりで、
水蒸気が空気中に気味わるく飽和されて、さらぬだに急に堪《た》え難《がた》く暑くな....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
り重なった雪の解けたために膿《う》み放題に膿んだ畑から、恵深い日の光に照らされて
水蒸気の濛々《もうもう》と立上る様を待ち遠しげに眺めやった。マッカリヌプリは毎日....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
である。 遊星が分離する際に太陽の雰囲気の中を通過している間に、そこから空気と
水蒸気を持ち出した。そうしてこの蒸気から後に海ができた。地球の中心は速くに灼熱の....
「紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
雨になった、さァ出掛けましょう」 雨は海上はるかに去って、霧のような煙のような
水蒸気が弱い日の光に、ぼっと白波をかすませてるのがおもしろい。白波は永久に白波で....
「柿色の紙風船」より 著者:海野十三
に立つというのだ。絶望、絶望、大絶望だった。数万の毛穴から、身体中のエネルギーが
水蒸気のように放散してしまった。私は脱ぎ捨てられた着物のようになって、いつまでも....
「恐竜島」より 著者:海野十三
く、急に雨が小降《こぶ》りになったと思うと、もう雲が切れて、もうもうと立ちのぼる
水蒸気に、明るく陽の光がさしこんで来た。気温は、またぐんぐんとのぼり出した。視界....
「火星探険」より 著者:海野十三
なるのだった。 「ああ、霞んでいるわけをいいましょうか、あれはね、火星の表面には
水蒸気があるからだ。地球だってそうだ。
水蒸気があるから雲があって、今日だって大陸....
「宇宙の迷子」より 著者:海野十三
て……。すると成層圏のまん中あたりの高度だ……。そのあたりなら、大気がうすくて、
水蒸気もないし、ごみもないから、太陽の光線が乱反射しない。それで昼間でも成層圏の....
「宇宙戦隊」より 著者:海野十三
否定した。 「いや博士。僕は見誤りなんかしませんです。たしかに怪物の姿が、まるで
水蒸気が消えるように消えてしまったのです」 いつの間にか、そこへ帰って来ていた....
「雷」より 著者:海野十三
ろとなった。それは御坂山脈のあたりから発生した上昇気流が、折からの高温に育まれた
水蒸気を伴って奔騰し、やがて入道雲の多量の水分を持ち切れなくなったときに俄かにド....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
天頂にあるがごとし。暮天一鉤の新月を望むところ、大いに雅趣あり。終日片雲なきも、
水蒸気の空中に満つるありて、清朗ならず。春天朦朧の観あり。 船出禁吟情動、百尺檣....