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水蜜桃
「水蜜桃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
水蜜桃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
この夜半の馬力が暑いあいだ最も多く通行することである。なんでも多摩川のあたりから
水蜜桃や梨などの果物の籠を満載して、神田の青物市場へ送って行くので、この時刻に積....
「わが町」より 著者:織田作之助
れたのを機会に、手を引いた。帰りしな、林檎はよくよくふきんで拭いて艶を出すこと、
水蜜桃には手を触れぬこと、いったいに果物は埃を嫌うゆえ始終はたきをかけることなど....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
あたりから摘め、今年は新茶が可なり出来た。砂利を敷いたり剪枝をしたり苦心の結果、
水蜜桃も去年あたりから大分喰える。苺は毎年移してばかり居たが、今年は毎日|喫飽を....
「毒瓦斯発明官」より 著者:海野十三
そして朝から時間割を決め、午前七時には鰻の匂いのする神経瓦斯を、午前九時には
水蜜桃の匂いのする神経瓦斯を、午前十一時には、ライスカレーの匂いのする神経瓦斯を....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
た桃などは、とても家庭でたべるものとは比較にならない上等の品だった。今考えると、
水蜜桃らしかった。何しろ口中で甘い汁がどっさりと出て直ちに溶解してしまうのだから....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
みんないつまでもそれをハンケチであると信じ込んでいたろう。 報知蜂紙の特派員は
水蜜桃のような少年だった。彼は手の平に金いろの細毛を生やしていた。そして去年の暮....
「裸木」より 著者:豊島与志雄
ことがあった。 ――赤ん坊は、日によって感じがちがう。林檎のような時もあるし、
水蜜桃のような時もあるし、桜ん坊のような時もある。 ――赤ん坊は、変に股が太っ....
「樹を愛する心」より 著者:豊島与志雄
かの大きな実、それを食べるのが、帰宅した私たちの第一の楽しみだった。街で売ってる
水蜜桃ほど甘味はないが、それよりも遙にすぐれた新鮮さと甘酸味とがあった。 枝葉....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
」 そう言って奥さんは菓子の袋をやぶったが、中は丸ぼうろだった。果物籠からは、
水蜜桃がみずみずしい色をのぞかせていた。 かなりの速度で、丸ぼうろと
水蜜桃とが....
「田舎医師の子」より 著者:相馬泰三
使のお志保を呼んだ。そして手真似で何かを命じた。すると間もなくそこへ美しく熟した
水蜜桃の数個が盆に載せられて運ばれて来た。 房子は、その中から一つを手に取って....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
られてからお見舞に上りましたが、すぐ病室へ入るのを遠慮して、傍の部屋にいますと、
水蜜桃の煮たのを器に入れて、嫂が廊下づたいに病室に入られました。あれが終りの頃の....
「水菓子屋の要吉」より 著者:木内高音
いなかの家のことを夢に見ました。ある山国にいる要吉の家のまわりには、少しばかりの
水蜜桃の畑がありました。梅雨があけて、桃の実が葉っぱの間に、ぞくぞくとまるい頭を....
「薬前薬後」より 著者:岡本綺堂
この夜半の馬力が暑いあいだ最も多く通行することである。なんでも多摩川のあたりから
水蜜桃や梨などの果物の籠を満載して、神田の青物市場へ送って行くので、この時刻に積....
「葛飾土産」より 著者:永井荷風
、粟、枇杷《びわ》、蜜柑《みかん》のたぐいに過ぎなかった。梨に二十世紀、桃に白桃
水蜜桃ができ、葡萄や覆盆子《いちご》に見事な改良種の現れたのは、いずれも大正以後....
「長崎の鐘」より 著者:永井隆
。「おい、おい」返事がない。両肩に両手をかけて引き起こそうとしたら、皮がぺろりと
水蜜桃のようにはげた。岡本君は死んでいた。その隣のが「うーん」と呻いて反転した。....