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水音
「水音〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
水音の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
襲って来ました。その拍子に障子の外の竪川へ、誰とも知れず身を投げた、けたたましい
水音が、宵闇を破って聞えたそうです。これに荒胆《あらぎも》を挫がれた新蔵は、もう....
「星座」より 著者:有島武郎
清逸は一昨日ここに帰ってきてから割合によく眠ることができた。海岸のように断続して
水音のするのはひどく清逸の心をいらだたせたが、昼となく夜となく変化なしに聞こえる....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
のたらたらと滴って、辛うじて用が足りた。 しばらくすると、しきりに洗面所の方で
水音がする。炬燵から潜り出て、土間へ下りて橋がかりからそこを覗くと、三ツの水道口....
「火星兵団」より 著者:海野十三
った。
「おや、どうしたのか」
と、千二がいぶかる折しも、どぼうんという大きな
水音が聞えた。大地がみしみしと、鳴ったくらい大きな
水音だった。
「ああ、とうとう....
「火薬船」より 著者:海野十三
おそるべき力だ。船長は、或る術を心得ているのかもしれない。 どどーンと、大きな
水音がした。 「どうだ。後の奴も、海水の塩辛いところを嘗めて来たいか。希望者は、....
「怪塔王」より 著者:海野十三
おすことを忘れて、帆村の落ちた荒びる水面をきょろきょろとながめました。 大きな
水音は、しばらく洞穴のなかを、わぁんわぁんとゆりうごかしていましたが、やがてそれ....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
た。と同時にうわーっという叫が下におちていったかと思うと、やがてどぼーんと大きな
水音が遥か海面から聞えてきた。 そのとき追跡隊がおいついて塀によじのぼった。 ....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
と笑いながら、ちょろちょろ滝に、畚をぼちゃんとつけると、背を黒く鮒が躍って、
水音とともに鰭が鳴った。 「憂慮をさっしゃるな。割いて爺の口に啖おうではない。―....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
小高いからずっと見渡される、いや夥しい、畦が十文字に組違った処は残らず瀬になって
水音を立てていた。 早や暗くなって、この田圃にただ一人の筈の、あの人の影が見え....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
のでございます。私達の辿る小路のすぐ下は薄暗い谿谷になって居て、樹叢の中をくぐる
水音が、かすかにさらさらと響いていましたが、気の故か、その
水音までが何となく沈ん....
「鴨の喜劇」より 著者:井上紅梅
離れた。仲密夫人は鴨に食わせるために冷飯を持って来たが、遠くの方でパシャパシャと
水音がしたので、行ってみると、その四つの鴨が蓮の池の中で行水をつかっていた。彼等....
「米」より 著者:犬田卯
るんでねえ、この野郎ら。――勝は早く泥を掻け。」 浩平は一喝して、大きな鋤簾を
水音高く掘割へ投げこんだ。 勝は帽子を被り直し、それから畦に投げ出されていた泥....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
違いない。昼から今に到るまで、雲から落ちながらさえ、魚は生命を保つ。そうしてこの
水音をしたって、路の向うから千里百里の思をして、砂を分けて来たのであろう。それま....
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
るにもかかわらず、至極暖かだ。雨はやみ、風は起らず、鳥も歌わない、虫も鳴かねば、
水音も聞えぬ、一行の興じ声が絶えると、森として無声、かくも幽寂しき処が世にもあろ....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
と、喜ぶ時、船前五間許の処にて、がばがばと水を撥ねたるは、十貫目錨を投じたる程の
水音にて、船は為めに揺られて上下せり。 これと同時に、敵は全力を振いて、延し始....