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氷嚢
「氷嚢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
氷嚢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春の夜」より 著者:芥川竜之介
たいていはじっと目を閉じている。そのまた顔も透《す》きとおるように白い。Nさんは
氷嚢《ひょうのう》を取り換えながら、時々その頬《ほお》のあたりに庭一ぱいの木賊《....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
ちょうずばち》に臨んでいるだけだった。麻の掻巻《かいまき》をかけたお律《りつ》は
氷嚢《ひょうのう》を頭に載せたまま、あちら向きにじっと横になっていた。そのまた枕....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
うべき幻影ももう消えていたのでございましょう。妻は私をその書斎へ寝かして、早速|
氷嚢《ひょうのう》を額へのせてくれました。
私が正気にかえったのは、それから三....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
に似た昏睡状態《こんすいじょうたい》から覚めて見ると、自分は日本橋の家の二階で、
氷嚢《ひょうのう》を頭に当てながら、静に横になっていました。枕元には薬罎《くすり....
「或る女」より 著者:有島武郎
にならなかった。葉子は看護婦を早く寝かしてしまって、岡と二人だけで夜のふけるまで
氷嚢《ひょうのう》を取りかえたり、熱を計ったりした。
高熱のために貞世の意識は....
「田端日記」より 著者:芥川竜之介
検温器を入れて見ると、熱が八度ばかりある。そこで枕を氷枕に換えて、上からもう一つ
氷嚢をぶら下げさせた。 すると二時頃になって、藤岡蔵六が遊びに来た。到底起きる....
「青鬼の褌を洗う女」より 著者:坂口安吾
すものですか。しかし、私が熱のあいまにふと目ざめると、いつも久須美が枕元に、私の
氷嚢をとりかえてくれたり、汗をふいてくれたり、私は深い安堵、それはいい訳を逃れた....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
寝衣にも着更えていなかったので、そのまま女中部屋の方へ降りて行った。 すると、
氷嚢を持った女中に、パッタリ出会った。 「どなたかお悪いの?」 「はア、お嬢さま....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
子供のママゴトも、実生活のマネということではまさしく完璧で、お医者にも見せるし、
氷嚢も当てるし、注射もしますし、オシッコもさせるし、要するに、この婦人のママゴト....
「愛の為めに」より 著者:甲賀三郎
塞って、気が遠くなるのを一生懸命に堪えて、部屋に這入ると、寝ている夫の頭にそっと
氷嚢を載せた。それからそっと三畳に寝ている赤ン坊を覗き込んだ。 夫は一時下りか....
「外務大臣の死」より 著者:小酒井不木
の枕許に夫人と看護婦とが椅子に腰かけて病人の顔を心配そうに眺めていた。総監は頭に
氷嚢を当てて苦しい息づかいをしていたが、松島氏の顔を見るなり、にっこりと寂しく笑....
「人工心臓」より 著者:小酒井不木
、検温器をあてて見ると、驚くではありませんか、四十一度五分の高熱です。私は直ちに
氷嚢を拵えて冷やしてやり、例の内科の友人に来てもらいました。私が友人から病名をき....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
人から領したという、浅緑と名のある名香を、お縫の手で焚いてもらい、天井から釣した
氷嚢を取除けて、空気枕に仰向けに寝た、素顔は舞台のそれよりも美しく、蒲団も掻巻も....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
だけの工夫はありそうなものと思ったから、 (やっぱり冷しているんだろうか、) (
氷嚢を七箇でもう昼夜通していますんです。) (七箇!) と私は驚いた。 (お頭....
「美人鷹匠」より 著者:大倉燁子
ん、鷹なんていやしませんよ」 火のような頭をそッと氷枕の上におさえつけ、額にも
氷嚢をあてがった。 達也は夜中|譫言を云いつづけて、ひどく苦しみ悶えた。 暁....